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トルコ旅行・ツアーブログ|トルコツアー旅行記

トルコの伝統手芸「オヤ」


オヤ(Oya)はトルコの伝統手芸の一つで、トルコの女性たちが着用するスカーフの縁飾りの総称です。技法や使う素材によって名称が変わり、かぎ針(tığ)を使うトゥーオヤ、縫い針(iğne)を使うイーネオヤ、シャトル(mekik)を使うメキッキオヤ、ビーズ(boncuk)を使うボンジュクオヤなど、様々な種類のオヤがあります。

オヤはトルコの女性たちの願いやさり気ないメッセージを含んだスカーフのアクセントとして発展し、今はオヤそのものがアクセサリーとして親しみ愛されています。ここでは、そんなトルコの伝統手芸オヤについて徹底解説致します。

トルコの女性にとってオヤとは?

オヤ
手先が器用なことが良い嫁の条件とされるトルコでは、オヤなどの手芸は年頃の娘たちが自分をアピールする手段でもあったのです。

結婚の際にもオヤはとても大切な役目を果たします。結婚が決まると、近所の人や親戚に嫁入り道具をお披露目する伝統があり、細かいオヤが施された何十枚ものスカーフやタオルは欠かすことができない物でした。オヤの技術で花嫁がいかに器用な娘であるかが評価されるのです。その為、母親は娘が子供のうちからオヤなどの手芸を教え、嫁入り道具の為にオヤの付いたスカーフを一緒に編んで準備をします。

また、トルコ語のoyalamak(オヤを編む)という動詞には、「暇をつぶす」という意味もあり、オヤ編みはトルコの女性たちの伝統的な趣味でもありました。夫と子供を送り出した主婦や娘たちが友人の家に集まり、チャイや持ち寄ったお菓子を食べながら、それぞれ手芸をしつつお喋りをするのは、トルコでよく見られる光景です。

また、近所の人々との大切な情報交換の場であり、娘たちにとっては手芸を学び、息子がいる母親たちにとっては花嫁候補の女性の品定めをする場でもありました。現代は、都市部などではオヤ編みが出来ない女性も少なくありませんが、地方では今でも夏休みなど時間があるときに、母親や祖母、近所の人々からオヤを習う伝統は続いています。

オヤの種類

オヤは使う道具や素材によって様々な種類があります。ここでは、代表的なオヤの種類をご紹介致します。

トゥーオヤ

トゥーオヤ
トゥーオヤとは、かぎ針(トゥー)を使って細いオヤ糸を編んでいくオヤです。トルコで最もポピュラーなクロッシェレース(手芸のレースの一分野で、かぎ針で編むレース一般)です。かぎ針をシェイクハンドの持ち方で編むのが特徴で、トルコの女性が初めて母親から教わるオヤは、ほとんどがトゥーオヤです。また、現在も昼間に主婦が集まるお茶会や休憩時間などに気軽に行われています。

イーネオヤ

イーネオヤ
イーネオヤは縫い針(イーネ)を使って糸を結んで作るレース編みです。編むというより「結ぶ」という表現が近いかもしれません。短い糸を足しながら編み進められるので長い1本糸である必要がなく、トルコ各地のシルク糸の産地で発展してきたものです。スカーフや布の端を処理する縁かがりの延長のため、オヤの中では最も古くからある技法で、地域ごとのバリエーションも多いです。平面と立体があります。いずれも基本は変わらず、ひたすら結び目を作っていくことで模様が出来上がっていきます。

メキッキオヤ

メキッキオヤ
メキッキオヤは手芸道具のシャトル(メキッキ)に糸を巻いてそれを芯糸に巻き付けて結び模様を作る、いわゆる「タティングレース」です。タティングレースと違う点は、「目を移す(トランスファー)」という作業がありません。その為、左手に持った芯糸にシャトルをくぐらせるだけです。

線の模様だけでなく、面を糸で埋めて花や葉などを表現することもあります。これはトゥーオヤやイーネオヤの影響だと思われます。作り手が少なく、モチーフの種類も限られていましたが、海外のタティングレースの人気を受けて再評価され、作り手が増えつつあります。

フィルケテオヤ

フィルケテオヤ
いわゆるヘアピンレースで、U字型のヘアピンを使ってかぎ針で編みます。出来るモチーフのバリエーションは少ないですが、トルコ特有のデザインが印象的です。地方によってはイーネオヤのベースとして使われたりしています。

ボンジュクオヤ

ボンジュクオヤ
ビーズ(ボンジュク)を使ったオヤ全般をボンジュクオヤといいます。技法は様々で、かぎ針、縫い針、シャトル、Uピン、どのオヤでもビーズを編み込めば「ボンジュクオヤ」と呼ばれます。ビーズは古来より魔除けのためにも使われており、中央アナトリア、カッパドキアなどがボンジュクオヤで有名です。

白いガーゼ生地につけるのが伝統的ですが、「田舎っぽい」とのことで廃れた時期もありました。その後、カラフルな布地にもつけるようになり、2003年頃からは都会でも少しリバイバルしたようですが、現在ではアクセサリーとして使われているのをよく見かけます。

わざとビーズの色を1つだけ変えたりして、ナザル・デーメシンやナザルルックと言われる、邪視除け、魔除けを表すものもあります。わざとのミス=完璧なものは神にだけしか作れない、という意味合いもあります。ビーズを糸に先に通しておく必要がありますので、そこが非常に面倒ですが、編むのは簡単です。アクセサリーにアレンジしやすいため、日本でも人気が高いです。また、スパンコールを使った華やかなオヤはプルオヤといいます。

エフェオヤ

エフェオヤ
エフェとは、エーゲ地方の自警団の男性の呼称です。彼らへ安全の願いを込めて編まれたオヤをエフェオヤといいます。男性が身につけるため、円形、半円、星型など太陽、月、星を意味するものが多く雄々しさを表現されていました。

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花言葉のようなオヤのモチーフ

オヤのモチーフ
様々な技法を用いて生み出されるオヤの多種多様なモチーフは、花言葉のようにそれぞれ意味があり、かつては身に着ける女性達の気持ちも表現していました。代表的なモチーフとその意味は、唐辛子=機嫌悪い、バラ=花嫁の象徴、ナイチンゲール=花婿の象徴、草原=嫁入り先の女性の家族(姑や小姑)に仲良くしてねという意思表示などがあります。また、舟の形をしたモチーフは身につけた女性が災いから守られ、幸せになるよう願いが込められています。大切な人へ門出のお祝いや旅のお守りにも喜ばれています。

オヤの歴史

オヤ
オヤの起源については未だに明らかにはなっていないそうです。トルコ人によると、12世紀頃からアナトリアより、様々なレース編みがヨーロッパ各地に伝えられたとされています。オスマン帝国時代(13〜20世紀)にイスラム文化が発展し、優れた美術手工芸品が作られるようになりました。それに伴い、レース編みや刺繡などの手芸技術も宮廷を中心に洗練されるようになりました。

オスマン帝国第10代皇帝スレイマンの治世を4シーズン全312話という壮大なスケールで描き、トルコ国内のみならず世界90ヵ国以上で大ヒットしたドラマ「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」に登場する宮廷の女性達の衣装にも華やかな刺繡が施されています。

また、イスラム教徒の女性は、人前で髪の毛を見せないようスカーフで覆い隠す習慣がありますが、特にアナトリア地域周辺においてスカーフの縁飾りが定着し、民衆の間でもレース編みが盛んに行われるようになったそうです。

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トルコ各地のオヤ

古くからオヤが編まれてきた歴史のあるトルコですが、地域によって様々な特徴があります。ここでは各地のオヤの特徴をご紹介致します。

ブルサのオヤ

ブルサのオヤ
マルマラ海の南に位置するブルサはシルクの産地です。養蚕が行われ、シルク工房が数多くありました。シルクの糸から紡織用の糸も作られました。そして、その糸からイーネオヤに発展するのに時間はかかりませんでした。シルクの細い糸で大きさよりも細かさを競ったのではないか?と思う程に目が細かく小さく可憐な花のモチーフを作ります。

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キュタフヤのオヤ

キュタフヤのオヤ
ブルサから更に南に位置し、陶器の町として知られるキュタフヤはイーネオヤも有名です。立体の大きな花のモチーフが多く、色彩的にはスカーフにはモスグリーン、キャメル、黒、茶色等で模様の花もそれに合わせた色になっています。茎と葉の部分にシルク糸を巻きつけた針金や導線を使い、オヤ自体の背丈があるのも特徴です。

アイドゥンのオヤ

アイドゥンのオヤ
アイドゥンのオヤは多種多様で構造状も作るのに手間暇がかかる困難なものが多いです。チューリップ、カーネーション、フリージアなど一つ一つの花が大きくボリュームがあり、
色とりどりの糸を使い、鮮やかな色遣いでゴージャスさが目を引きます。

オデミシュのオヤ

オデミシュのオヤ
エーゲ海地方のイズミル県にある町オデミシュのオヤも有名です。特徴は、パステル系の色彩ですが、模様が小ぶりで細かいので少し控えめな印象です。

スカーフに付けられるオヤについて

最近はアクセサリーとしても親しまれているオヤですが、元々はスカーフの縁取りとして編まれていました。スカーフのオヤは基本的に正方形の布の4辺に付けられますが、いくつかの地域では例外もあります。ここで地域ごとに異なるオヤスカーフの特徴をご紹介致します。

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ベルガマのオヤスカーフ

ベルガマのオヤ
エーゲ海沿いの町ベルガマ(ペルガモン)の遊牧系住民の村ではスカーフの連続した2辺と残りの2辺の途中までオヤを編みます。合計すると3辺になりますが、これはスカーフを三角形に畳んで被ることから内部に入る部分には邪魔にならないように、また、見えない部分には必要がないという考えからオヤを付けなかったようです。

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コンヤのオヤスカーフ

コンヤのオヤ
コンヤのオヤスカーフは布の耳(タテ地の方向の端の部分)にはオヤを施さず、切りっ放し部分をかがる目的で対面した2辺にオヤを編みます。全くの2辺ではなく、残った2辺の耳の部分の両端数センチにもオヤを施します。これにはスカーフの被り方が影響しています。宗教色の強い地方での被り方として、1辺を顔の真上に持ってきて後ろの辺の反対側の角を顎の下からまわし頭の上に持ってきます。そうすると、2辺のみが表面に出て顔の周りに額縁のようにオヤが見えるようになるのです。この被り方なら生地の耳の部分には飾りをつけなくても構わないのです。東部のクルド系住民が多いエラズーでも同様に対面した2辺のみにオヤを付けています。

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オヤで使う糸について

オヤで使う糸
トルコで販売されているオヤ糸は、ナイロン製・ポリエステル製の素材を使ったものが一般的に使用されています。(ひと昔前はナイロン製の糸が主流だったそうですが、現在は生産中止しているメーカーが多く、ポリエステル製の糸に移行されてきています。)他に、ラメ入りのラメ糸、総メタリック素材、新素材で新しく発売されたレーヨン糸、ナウルハン村で有名なシルク糸など、様々な素材の糸があります。

トルコ人女性は、数あるオヤ糸の風合いや特徴から、作ろうとしている作品のイメージに合わせて糸を購入し、思い思いのオヤを作ります。「このモチーフであればボリューム感を出した方が存在感でるので、太めの糸!」、「目の細かい繊細で上品な、モチーフを表現したいから、細めの糸!」などと時には、違う素材の糸・違う太さの糸を組み合わせて、強弱をつけたりもします。

オヤに使う糸はイスタンブールにある世界で最も大きく最も古いバザールである「グランドバザール」でも売られています。糸の他にもオヤを施したスカーフ、ネックレスやピアスなどのアクセサリーももちろんあります。

日本でオヤ編み体験が出来る場所

オヤ
日本でも近年人気が高まっているオヤの作品作り体験が出来るところが幾つかあります。ここでは、オヤ編み体験が出来る場所をご紹介致します。

Wasabi-Elisi(ワサビ・エリシ)

東京都世田谷区にあるWasabi-Elisi(ワサビ・エリシ)は、オヤを中心とした針仕事の専門店です。店名は、清々しい青い葉「わさび」と、トルコ語の「手仕事」=「Elişi」を合わせた名前です。毎月第3木曜日・第3日曜日にビーズのオヤ(ボンジュクオヤ)教室を開講しています。

 
住所 東京都世田谷区羽根木1-21-27 亀甲新 ろ60
電話番号 03-6379-2590
ウェブサイト http://www.wasabielisi.com/

トルコ文化センター

オヤ
東京都港区にあるトルコ文化センターでは、初心者から上級者までレベルに合わせて様々なオヤ編みの技術を用いるコースを用意しています。お菓子を食べて会話を楽しみながら作ることができ、チャイパーティーや展示販売会も定期的に開催しています。オヤ編みの他にもトルコ語講座や料理教室などトルコの文化を学ぶ様々な教室を開講しています。

 
住所 東京都港区芝大門1丁目3-17 玉家ビル4階
電話番号 03-6452-9962
ウェブサイト https://www.turkeycenter.co.jp/

オヤの材料が買えるオンラインストア

自宅でもオヤ編みが楽しめる、オヤ用の糸やビーズや手芸道具を専門に取扱っているオンラインストアをご紹介致します。

トルコのオヤ糸屋さん

ナイロンやポリエステル素材の色とりどりのオヤ糸をはじめ、ビーズ、スパンコール、手芸道具などの他にも出来上がったオヤアクセサリーやオヤスカーフの販売もしているオヤ専門のオンラインストアです。

https://oyaito.ocnk.net/

本場トルコでオヤのお土産を買える場所

日本でオヤ編み体験が出来る教室や材料が買えるオンラインストアをご紹介しましたが、本場トルコのオヤも是非手にとってみたいですね。
イスタンブールにある世界最大の市場「グランドバザール」では、陶器やランプ等の雑貨が幅広く売られています。もちろんオヤのスカーフやアクセサリーもあり、お土産品としても喜ばれています。

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