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トルコ旅行・ツアーブログ|トルコツアー旅行記

モヘア(モヘヤ)の特徴は?カーディガンやニットにおすすめのふわふわ素材


冬には欠かせないモヘア(モヘヤ)の毛糸。何の被毛をつかっているの?原産国は?その秘密を解説します!

「モヘア」という毛織物をご存知でしょうか?一部では「モヘヤ」と呼ぶ方もいるようですが、いずも同じものを指します。ちなみに、家庭用品品質表示法では「モヘア」が正しい表記とされています。
夏場のスーツや、冬はふわふわのセーターに使われるイメージのモヘア(モヘヤ)ですが、どこで生まれたどんな織物なのでしょう?

モヘア(モヘヤ)とは?何からできている?

モヘア
モヘアは、「アンゴラヤギ」の毛から作られた天然繊維です。生糸のような独特の光沢をもっており、毛足が長くて通気性が良いことが特徴の、美しい被毛です。非常になめらかで、吸湿性に優れているという特徴もあります。モヘア(mohair)の語源はアラビア語で“山羊の毛の織物”を意味する「mukhayyar」だと言われています。

毛織物を含めて繊維には、羊毛や絹などの動物や、面や麻などの植物、石綿などの鉱物由来の、天然に繊維として存在しているものを取り出した「天然繊維」と、人間が人工的・化学的に作り出した「科学繊維」の2種類が大きく存在しています。日頃よりなじみのある天然繊維は、動物や動物由来のものが多いかもしれません。モヘヤは、その動物由来の天然繊維の一種となります。

取り出された天然繊維はそれだけでは長さが短いため、撚り合わせて一本の長い糸にするという「紡績」を行います。原材料の繊維の長さや太さ、色のニュアンスなどが1本1本異なるため、紡績後の繊維も必ずしも均一な仕上がりとはなりません。これが天然繊維の大きな特徴であり、味でもあります。化学繊維に比べて天然繊維は手間がかかり、大量生産が出来ないために、化学繊維と比較すると価格が高い傾向にあります。

モヘア素材の特徴・メリット

モヘアはシルクのように美しい光沢があるのが特徴です。羊毛(ウール)と同様に主成分はケラチンというタンパク質ですが、表面の鱗片(スケール)はウールの約半分で、それぞれほぼ重ならず平坦になっています。そのため、手触りは非常に滑らかで、かゆみも出にくく、敏感肌の人にも適しています。丈夫で耐久性があり、弾力性もあるためシワになりにくいのもメリットです。

モヘアは軽量でありながら、優れた保温性と断熱性を有していますが、同時に高い通気性と吸湿発散性があるため、幅広い季節に対応できます。さらに、染料を保持しやすいため染色しやすく、難燃性がある点も、衣類などに使う上で利点となります。

モヘアは毛足が長いために静電気が起きやすいというデメリットもありますが、アクリルなどと混紡することで解消できます。

モヘア生地の用途

  • 冬場のニットやマフラー、コート、カーディガン:ふわふわした見た目の毛足の長い繊維は、空気を多く含むことが出来ます。そのため高い保温力を発揮することが可能であり、外の空気を遮断してくれるのです。モヘアのカーディガンは女性を中心に大人気です!
  • 夏用スーツ:光沢があり熱伝導率が低くサラッとしており、また断熱性・吸湿性も兼ね備えた素材感は、夏のスーツにピッタリです。
  • インテリア製品:モヘアは光沢があって高級感があり、丈夫で耐久性があるため、カーペットやカーテンなどにもよく使われます。
  • フェイクファー:ふわふわで柔らかい性質を生かして、動物の毛皮のような質感を再現できます。

ちなみに、網戸や扉などの建具の隙間を埋めて気密性や断熱性を高める「モヘアシール」という建材がありますが、こちらは見た目がモヘアに似ているだけで、使われている素材はポリプロピレンなどです。

モヘアの生産方法

モヘアの原料となるアンゴラヤギの毛の刈り取りは、一般的に春と秋の年2回行われます。毛は1年で20~30cmほど成長し、1頭から採れる毛は年間4~6kgです。こうして刈り取った毛を洗浄して汚れや異物、油脂などを除去してから紡績し、モヘア生地が生まれます。

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モヘア(モヘヤ)の歴史|原産地はどこ?

アンゴラヤギ
モヘアはアンゴラヤギの被毛でできているとお伝えしましたが、アンゴラヤギはどこから来た種かご存知でしょうか?

アンゴラという名前から、アンゴラ共和国固有の種ではないかと想像してしまいますが、アンゴラヤギは“Angora”、アンゴラ共和国は“Angola”で、全く関係がありません。

実はアンゴラヤギは、数千年前に遊牧民によりトルコのアンゴラ(現在の首都アンカラ)へ運ばれたと考えられています。モヘヤという単語は、トルコ語で「最高の毛」を意味するそうなのです。

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そこから18世紀中頃まで、オスマントルコ帝国が独占してアンゴラヤギの飼育と改良を進めて、商用として発展をさせてきました。他の場所にアンゴラヤギが広まり独占状態が崩れることを恐れて、輸出の際には、オスは必ず虚勢をしたと言われています。

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ところが、対策をしたにもかかわらず南アフリカがアンゴラヤギの繁殖に成功します。どうやら輸入したヤギの中に、1頭だけ妊娠したメスがいたのではないかと言われています。そしてその後、開拓者達によってアメリカにも運ばれ、炭鉱に食料や機材などを運ぶ役目を果たしていました。こうしてトルコから世界へアンゴラヤギとモヘアは広がりを見せていくのです。

現在のモヘアの産地

現在、モヘアは主にトルコ、南アフリカ、アメリカで生産されています。半分くらいのシェアを誇るのが南アフリカ産のモヘアです。細く柔らかい質感が特徴で、シェアおよそ50%の生産量を誇ります。

生産国の中で一番の品質を誇るのがトルコ産です。通常毛刈りは年2回行われますが、トルコは年1回のため、毛足が長く柔らかさや光沢など、いずれをとってもずば抜けた品質を誇っています。店頭でもトルコ産と言えば高級品として扱われています。

アメリカのモヘヤはほぼテキサス州で生産されていることもあり、「テキサスモヘヤ」と呼ばれています。上品な光沢と柔らかさが特徴です。

「アンゴラ」と名の付くトルコ原産の動物

ちなみに、トルコの首都アンカラ原産で「アンゴラ」が名前につく動物は、あと2種類存在しています。

1つ目はターキッシュアンゴラという猫です。毛足が長く、ペルシャ猫の祖先であるともいわれています。毛や目の色は色々と存在していますが、白い、オッドアイを持つ種類がとても美しく、モデルとしてよく見かけます。

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2つ目はアンゴラウサギです。こちらも長毛種です。被毛はアンゴラと呼ばれて、やはりセーターやマフラーなどふわふわとした感触の素材であることが特徴です。被毛はとても多くもふもふと丸いので、定期的なカットをしないと目の周りに覆いかぶさってしまうほどだとか。今では世界に広がり、色々な毛色の種類が存在しますが、中でも白くて赤い目をした種類が特徴的に描かれることが多いです。

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モヘア(モヘヤ)の種類

モヘア
夏のスーツから冬のふわふわのニットまで幅広く使われるモヘヤですが、実はアンゴラヤギの月齢・年齢によって毛質が変化していきます。モヘアと一概に呼ばれますが、その毛質によって様々な呼び名がついています。

生後1年未満のアンゴラヤギから刈り取った毛を「キッドモヘヤ」、もっと細かく言えば、生後3か月~6か月くらいのものは特に「スーパーキッドモヘヤ」と呼びます。生まれて初めて刈り取る子ヤギの毛は、とても柔らかく繊細な毛質で人気がありますが、収穫量はモヘヤ全体の収穫量の1/6程度しかなく、非常に高価に取引されています。

対して、生後一年を超したアンゴラヤギの被毛からできたモヘアは、「アダルトモヘヤ」と呼ばれます。また、「アダルトモヘヤ」の中でも少し若いモヘア被毛は「ヤングゴート」と特に呼ばれるそうです。

モヘア(モヘヤ)と、他のニット素材との違いは?

モヘア
温かさが重宝される冬の素材はモヘアだけではありません!良く比較される4種類の天然ニット素材の特徴を比べてみましょう。

アルパカ

アルパカは動物の一種で、標高4000m以上のアンデス山脈に暮らしている古代から生息する種類です。朝晩の気温差が大きい、過酷な環境であるペルーやボリビアで暮らしています。もふもふとした毛を備え、とてもかわいらしい笑顔にも見える表情で、見ているだけで癒されてしまいます。

アルパカの被毛も「アルパカ」と呼ばれ、この過酷な地の環境に堪えることができるような毛の作りをしています。耐久性に優れており、毛玉になりにくいのが特徴です。他の動物と比較すると毛が少々太く、柔らかくて、しっとりとした滑らかさがあります。また、繊維の中に小さな空洞があるのですが、そこに暖かい空気をため込むため、保温性にも大変優れています。

カシミア(カシミヤ)

高級素材のイメージがあるカシミア(カシミヤ)は、カシミヤヤギの被毛を使った素材です。広く言えばウールの一種ですが、カシミヤヤギの剛毛の下に、冬の寒さに耐えるために生える産毛のみを使ってカシミヤ(カシミヤ)として利用します。採れる量が少ない為希少価値が高く、高値で取引されています。

アルパカやウールよりも細く、軽くて繊細な柔らかさがあることが特徴です。表面は油脂で覆われているため独特の風合いがあり、とても滑らかな触り心地です。艶と光沢感がより高級感を高めてくれています。

現在は主に中国北西部、モンゴル、イランなどが原産地となっており、インドのカシミール地方が名前の由来であると言われています。

アンゴラ

アンゴラ
先ほど、アンゴラヤギと同じくトルコの首都アンカラを産地とする動物としてアンゴラウサギをご紹介しましたが、このアンゴラウサギの被毛から獲れるのがアンゴラです。アンゴラウサギは長毛種で、年3~4回毛を採ることが出来ます。現在は中国産が90%以上を占めています。

とても細長い毛を使用しており、ふわふわしたニットに使われることが多いのですが、取扱いがデリケートで難しい為、ウールなどと混紡して使われることが多い素材です。ふわふわした特徴はモヘアと少し似たところがあります。

アンゴラウサギとは?愛くるしい魅力やそのルーツをたどります!

ウール

羊(主にメリノ種)の被毛から採られる素材です。オーストラリア、ニュージーランド、フランスのメリノ種が有名で、全体の約50%程度を占めていますが、他にもさまざまな種類が存在します。ウール全体での主な原産国はオーストラリア、中国、ニュージーランドとなっています。1頭からは平均5キロ程度の羊毛が採れ、生産量がとても多い為、私達も一番身近に感じられる素材ではないでしょうか?

羊毛は縮れているのが特徴で、毛が絡み合っているためとても保温効果が高いです。水をよくはじきつつ、湿気はよく吸収します。型崩れもしにくく、皺にもなりにくいという大変扱いやすい特徴を持っているため、セーターやスーツ、コートなど、とても幅広く用いられています。

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モヘア(モヘヤ)のお手入れ方法

モヘア
モヘアはデリケートで、毛抜けに注意が必要です。もともと持つ柔らかさを活かすために、弱い力で撚って紡績することが多いのです。お陰でふわふわとした触り心地が実現しているのですが、とても繊細に扱う必要があります。
 
着用時にはなるべく摩擦を避けましょう。摩擦で毛が引っかかるとどんどん抜けて行ってしまうこととなります。

着用後は、基本的には早めに毛流れに沿って、タオルでなでるようにブラッシングをすることが大切です。1度着たら湿気を取って、少なくとも2,3日は休ませましょう。艶が回復してきます。基本的にはシーズン終わりにクリーニングに出し、ホームクリーニングはあまりお勧めが出来ません。

自宅で洗濯する場合は、デリケート生地用の中性洗剤を用いて、冷水で優しく押し洗いします。十分にすすいで軽く脱水したら、平置きで乾燥させましょう。

モヘア(モヘヤ)は使用NG!?搾取の裏に潜む動物愛護問題

アンゴラヤギ
多くの人気を博してきた「モヘア(モヘヤ)」ですが、もう見られなくなるかもしれないのではないかという噂が囁かれています。
 
2018年5月に、モヘア世界第1位の生産量を誇る南アフリカで起こっている、アンゴラヤギの虐待の報告書と、牧場作業員がアンゴラヤギを実際に虐待する映像が出回り、世界に大きな衝撃を与えました。

映像の中では、牧場作業員がアンゴラヤギを引きずり回したり、乱暴に扱ったりする様子が映っていました。スピードを重視するあまり作業は手荒くなり、ケガも発生し、弱ったヤギは意識がまだあるにもかかわらず、喉を切られて殺されてしまう様子も公開されました。

2013年に同じく虐待が問題視されたアンゴラウサギと共に、世界のアパレルメーカーはこの問題を大きく捉え強い提言を行いました。H&M、ZARA、GAPグループ、ユニクロ、高級ブランドのフルラなどのアパレル大手は、モヘヤ(モヘア)とアンゴラ両素材の使用中止に踏み切る旨を発表したのです。これにより、大手に追随してモヘアやアンゴラを中止するメーカーが増えると予想され、モヘアはやがて、姿を消してしまうのではないかと言われています。

これに対してモヘヤ南アフリカ協会は調査を開始しています。これまで持続可能な生産システム構築を目指し、第三者機関の監査なども交えてきた協会にとっては大変ショックな出来事となりました。厳格な調査と、モヘア(モヘヤ)業界の一部の作業員に対する意識
の改革が求められています。

モヘア(モヘヤ)誕生の地、トルコの首都アンカラ

アンカラ
トルコの首都アンカラがアンゴラと呼ばれていたのは遥か昔、ローマ帝国占領時代のことです。もともとはイスタンブールが政治、経済、文化の中心として栄えていました。しかし、トルコ共和国が誕生した際に、地方都市であったアンカラを首都とすることにしたのです。何故アンカラとしたかという理由は明確になっていませんが、これにより政治の中枢はアンカラに移ることとなりました。

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アンカラはトルコ共和国の初代大統領で、近代化の父と呼ばれるムスタファ・ケマル・アタテュルクととても縁の深い場所です。死後には「アタテュルク廟」が建てられ、アタテュルクはそこで眠っています。現代トルコ建築物の傑作と言われており、ぜひ見ておきたい建物です。

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もう一か所外せない見どころと言えば、「アナトリア文明博物館」でしょう。ヒッタイト時代の貴重な遺物が残されており、とても見ごたえがあります。オスマントルコ帝国時代を思い起こさせる10のドーム屋根に覆われた建物も魅力的です。

アンカラの気候は、夏は最高気温が40℃以上で、冬の最低気温は-20℃以下であるというかなり過酷な環境です。その中を生き抜くために、もこもこした毛が必要となったと言われています。こうした気候が特有の品種を生み出すのですね。

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