トルコ基本観光情報
ハラルフードとは?知っておくべきイスラムの食事のルールや認証基準
最近、街中でも見かけることの増えた「HALAL(ハラール)」のマーク。HALAL(ハラール)マークがあるお店は、飲食店やスーパーなど食品を扱う店がほとんどです。ムスリム(イスラム教徒)はこのハラールマークを目印に、外食や食材の買い物を行います。
本来ハラール(ハラル)は、イスラム教で許されているもの全般を指しますが、イスラム教において「食べることが許されている料理や食品」はハラルフード(ハラールフード)と呼ばれます。
具体的にどのような料理や食品がハラルフードなのでしょうか?ハラルフードの定義や例、ハラルフードが買えるお店などを紹介します。
つまり、ハラールフードは、ハラールな原料とプロセスで作られたハラーム以外の食品や料理を意味するのです。
ムスリム(イスラム教徒)は、唯一神(アッラー)が決めたハラールとハラームに従って生活をしています。ハラールとハラームの内容はイスラム教の啓典「コーラン(クアルーン)」に詳細に規定されています。
コーランを分かりやすく解説!知られざる内容やイスラムにおける重要性とは?
イスラム教では豚肉やお酒を口にしてはいけないというのは有名ですが、これはコーランに豚肉やお酒を禁止する旨の記述がある、つまりハラームとされているからなのです。
もし仮にハラールかハラームか分からないものは「シュブハ(疑わしいもの)」として避けるべきとされています。ムスリムにとってコーランの教えに従って生活することは神への信仰となるため、強制されているわけではなく、全て自主的に行われています。
ムスリムとは?日本人でも知っておきたいイスラム教徒の生活や基本ルール
ハラルフードの基本は、豚肉やアルコールなどイスラム教で禁じられているもの(=ハラーム)を避けることです。それ以外の野菜や果物、穀物、魚、牛乳、卵などは食べられるため、ハラルフードの範囲は意外と幅広いのです。
ただし、これらは宗派、国や地域、個人によって解釈が異なる場合もあります。実際、禁止(ハラーム)とされているお酒については、国民のほとんどがムスリムのトルコでは自由に飲むことができます。
「ハラール」・「ハラーム」とは?イスラム教の良いこと悪いこと | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
ムスリムにとってハラールフードはとても重要で、そのこだわりは徹底されています。
例えば、私たち非ムスリムの食生活の中で食べられない食材が料理に入っていた場合、それだけを除いて食べることがあると思いますが、ムスリムが食事をする際はハラームの食材が触れただけでNGとなります。
これは食材だけに限らず、お皿、調理器具や厨房にも言えることです。食材がハラールであっても、ハラームの食材を調理した器具を使った時点でハラールフードではなくなってしまいます。ハラールにはハラームが1ミリたりとも触れてはいけないのです。
イスラム教はキリスト教に次ぐ世界第2位の信者数を誇る宗教で、その信者数は19億人にものぼり、世界人口の約25%を占めています。とは言え日本ではあまりイスラム教に馴染みがありません。そのため、ハラールについてもまだ知らない人が多いですが、世界を見渡せばハラールフードは決して珍しいものではないのです。
観光や留学などで日本を訪れるムスリムも年々増えているため、非ムスリムの日本人がハラルフードについてある程度理解しておくことは重要と言えます。
イスラム教をどこよりも分かりやすく解説!教典の教え、食事・礼拝・服装ルールなど | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
ハラルフードの条件は思ったよりも複雑ではなく、主に気を付けたいのは以下の3点です。
さらに、ハラールな食材であっても、一度豚肉を使った料理を供するのに使ったお皿や、豚肉を切るのに使ったまな板や包丁、トンカツを揚げた油などを使用するとNGになってしまいます。
ただし、豚はほぼ全てのムスリムが避ける一方で、アルコールに対する考え方は人や国によって差があります。実際、国民の90%以上がムスリムであるトルコでは飲酒はOKで、現地のトルコ人はもちろん、旅行者もレストランやメイハーネ(居酒屋のようなもの)で気軽にお酒を楽しめるのです。
トルコの人々は皆イスラム教徒?政教分離の国トルコの宗教事情
イスラム教において豚肉を口にすることは禁じられていますが、豚肉以外の食肉を口にする場合には、イスラム法に則って適切な処理が施されていることが必要となります。適切な処理がされていない食肉については豚肉同様、口にすることは出来ません。
では、適切な処理とはどのような方法なのか?コーランにも記されているイスラム教の屠畜について説明していきます。
まず、ムスリムが食肉を口にする場合、非ムスリムの人間が屠ったものは食べられません。食用として認められるのはムスリム、及びイスラム教と同じ啓典の民(ユダヤ教徒、キリスト教徒)が屠った肉のみとなります。
次に屠畜の手法ですが、日本では基本的に気絶させてから失血させるノッキングという手法がとられていますが、イスラムの考えではこの方法は合わないとされ、イスラム教では生きている状態で動物の頸動脈を切る手法をとります。なぜなら、死んだ動物はハラームとされており、イスラム教ではノッキングで失神している状態が生きているとみなされない可能性があるからです。
そして、屠畜の際には必ず神に感謝して「ビスミッラーヒルラッフマーニルラヒーム(神の御名において)。アッラーフ アクバル(神は偉大なり)」と唱えます。
こうして屠畜された肉のみをムスリムは口にすることができます。
ハラール認証は、1960年頃にマレーシアで始まりました。マレーシアで認証が行われた背景には、多民族、多宗教が関係しています。マレーシアの認証は国が運営している「マレーシア連邦政府総理府イスラム開発庁(JAKIM/ジャキム) 」で行われており、世界で唯一、政府機関がハラール認証を付与しています。マレーシアのハラール認証は、イスラム教の聖地があるサウジアラビアに次いで厳しい規格とされています。
また、マレーシアのお隣、ムスリム人口が世界で最も多いインドネシアの認証機関「インドネシア・ウラマー評議会(MUI)」も厳しい評価基準を保持しています。
中東のイスラム諸国であれば、市場に並ぶ食品などはハラールであることが基本ですが、日本のような非イスラムの国で生活するムスリムやムスリム観光客にとっては、食事や食材などを選ぶ際にこのハラール認証マークがとても重要になるのです。
ハラールの対象は食品だけにとどまらず、健康食品、化粧品、生活用品、医療品、そして商店や飲食店、ホテルなど幅広い分野に及びます。そしてこれらがハラール認証を取得する際、大きく分けて4つのチェックポイントがあります。
例えば、飲食店がハラール認証を取得する場合、台所の調理器具は全てハラーム食材を扱っていないものに限られます。店内にアルコール類も置いてはいけません。そして調理人はムスリムでなければいけません。
このように、認証を受けるにあたっていくつもの厳しいチェックポイントをクリアしなければなりません。
例えば、工場全体を対象として判断する機関もあれば、同じ工場内でハラール以外のものを製造していても、製造ラインごとに判断して、チェックした製造ラインに対して認証を付与する機関もあります。
また、宗教に対する解釈や文化の相違などから、ハラール規格の内容やハラール認証制度そのものが国や地域によって異なります。そのため、どこの国でも通用するというハラール認証はありません。ただ、厳しい認証基準を持つマレーシアのJAKIMとインドネシアのMUIの認証を得た商品のハラール性はイスラム世界でも安全性が高いと言われています。
日本国内にも多数のハラール認証機関がありますが、その中でも他国の認証機関から公認を受けている機関は下記となります。
また、日本にもハラール認証機関は複数あり、飲食店など業者向けにハラール認証を取得した食材を製造・販売している企業もあります。一般の方でも、業務スーパーなどでハラール認証を取得した食品や調味料を購入できます。
SaidShop(サイードショップ)やHalal Store Japanなど、ムスリム向けにハラルフードを販売している通販ショップもあります。
トルコや世界中のハラール商品は、代々木上原駅から徒歩5分程の場所にある日本最大のトルコ系イスラム教のモスク「東京ジャーミイ」に併設されているお店「ハラールマーケット」で購入出来ます。オンラインショップもありますので、地方の方でも購入可能です。
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レストランでハラール認証を受ける際、条件のひとつに料理人もムスリムであることがあります。しかし、日本では全ての条件を満たすのは難しいのが現状です。そのため、調理人がムスリムでない場合は、少なくともそのお店の中で最低1人はハラール認証についての講習を受ける必要があります。
しかし、日本でも最近ではハラールフードを提供するレストランが増えてきました。日本に数多くあるハラールフードを提供するレストランの中から、気になるレストランをピックアップしてみましたので紹介します。
東京、大阪以外にもインドネシアのジャカルタに店舗を構えています。
ムスリムが安心して過ごせるように礼拝スペースやウドゥ用水場も用意されている予約必須のお店です。ハラール認証店でもあるため、アルコールの提供はありません。
上記以外にもハラールフードを取り扱っているレストランはたくさんあります。ムスリム向けグルメ検索サイトには多数のレストランが掲載されているので是非参考にしてみてください。
【ムスリム向けグルメ検索サイト】 https://www.halalgourmet.jp/ja
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ユダヤ教でもイスラム教同様に、食べてはよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。これは、
主にユダヤ教の啓典「旧約聖書」に基づいた「カシュルート(適正食品規定)」によるもので、食べてよいものは「コーシェル(コーシャ)」と言います。そして、ユダヤ教で食べてはいけないものは下記となります。
ユダヤ教の食事事情は比較的イスラム教と似ていますが、アルコールについては制限がありません。豚やうさぎなど上記にない食肉については、“宗教上の適切な処理が施されている”ことが条件となるため、肉類そのものを食べることを忌避するユダヤ教徒もいます。
そしてユダヤ教独特なのが、一緒に扱ってはいけない食材があることです。その代表格が「乳製品と肉料理の組み合わせ」です。“お腹の中で乳製品と肉料理が一緒になってはいけない”という意味合いになります。これは、旧約聖書に「子山羊をその母の乳で煮てはならない」と記述されていることによるものです。また、同じ料理の中に肉と魚の両方を使うこともできません。
イスラム教のハラール認証と同じように、ユダヤ教でもコーシャ認証があります。アメリカではコーシャ認証を受けている食品が1番安全とも言われ、ユダヤ教徒でなくてもあえてコーシャ食品を選択する人が増えているそうです。
インドを中心に、ネパールやスリランカなどに信者が多くいるヒンドゥー教ですが、このヒンドゥー教も食事についての規定を持っており、食べてはいけないものは下記となります。
中には肉食をする人もいますがその場合には、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。絶対的に避けるのが牛と豚で、牛は神聖な動物として崇拝され、一方の豚は不浄な動物とみなされ、基本的に食べることがありません。
お肉以外でも、動物の肉や骨を使ったエキスやブイヨン、ゼラチン、牛乳の脂肪が使われるバターやラード、牛脂、魚油、馬油などの動物性脂もNGです。また、魚介類全般も動物性の食べ物として忌避する人もおり、その場合“鰹節の出汁”も対象になってきます。
本来ハラール(ハラル)は、イスラム教で許されているもの全般を指しますが、イスラム教において「食べることが許されている料理や食品」はハラルフード(ハラールフード)と呼ばれます。
具体的にどのような料理や食品がハラルフードなのでしょうか?ハラルフードの定義や例、ハラルフードが買えるお店などを紹介します。
目次
ハラルフードとは?
ハラルフード(ハラールフード)は、イスラム教において「食べることが許されている料理や食品」のことです。ハラール(ハラル)は正確には食事に限らず、物や行動などイスラム教で全般的に“許されていること・もの”を指します。逆に、イスラム教において“禁じられていること・ものは「ハラーム(ハラム)」と言います(一部の国では、「ノンハラール(ノンハラル)」と呼ぶこともあります)。つまり、ハラールフードは、ハラールな原料とプロセスで作られたハラーム以外の食品や料理を意味するのです。
ムスリム(イスラム教徒)は、唯一神(アッラー)が決めたハラールとハラームに従って生活をしています。ハラールとハラームの内容はイスラム教の啓典「コーラン(クアルーン)」に詳細に規定されています。
コーランを分かりやすく解説!知られざる内容やイスラムにおける重要性とは?
イスラム教では豚肉やお酒を口にしてはいけないというのは有名ですが、これはコーランに豚肉やお酒を禁止する旨の記述がある、つまりハラームとされているからなのです。
もし仮にハラールかハラームか分からないものは「シュブハ(疑わしいもの)」として避けるべきとされています。ムスリムにとってコーランの教えに従って生活することは神への信仰となるため、強制されているわけではなく、全て自主的に行われています。
ムスリムとは?日本人でも知っておきたいイスラム教徒の生活や基本ルール
ハラルフードの例
ムスリムが食べてもよいもの(=ハラール)の例 | 野菜、果物、穀物(米、小麦など)、魚介類、海藻類、牛乳、卵 |
ムスリムが食べてはいけないもの(=ハラーム)の例 | 豚肉や豚由来の成分が含まれているもの、宗教上の適切な処理が施されていない食肉、その動物由来の成分、血液、アルコール類、犬や鉤爪(かぎづめ)のある動物、死んだ動物 |
疑わしいため避けるべき(=シュブハ)の例 | 処理方法の分からない(宗教上適切な処理がされていない可能性がある)食肉など |
ハラルフードの基本は、豚肉やアルコールなどイスラム教で禁じられているもの(=ハラーム)を避けることです。それ以外の野菜や果物、穀物、魚、牛乳、卵などは食べられるため、ハラルフードの範囲は意外と幅広いのです。
ただし、これらは宗派、国や地域、個人によって解釈が異なる場合もあります。実際、禁止(ハラーム)とされているお酒については、国民のほとんどがムスリムのトルコでは自由に飲むことができます。
「ハラール」・「ハラーム」とは?イスラム教の良いこと悪いこと | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
ハラルフードが注目されている理由
ムスリムにとってハラールフードはとても重要で、そのこだわりは徹底されています。
例えば、私たち非ムスリムの食生活の中で食べられない食材が料理に入っていた場合、それだけを除いて食べることがあると思いますが、ムスリムが食事をする際はハラームの食材が触れただけでNGとなります。
これは食材だけに限らず、お皿、調理器具や厨房にも言えることです。食材がハラールであっても、ハラームの食材を調理した器具を使った時点でハラールフードではなくなってしまいます。ハラールにはハラームが1ミリたりとも触れてはいけないのです。
イスラム教はキリスト教に次ぐ世界第2位の信者数を誇る宗教で、その信者数は19億人にものぼり、世界人口の約25%を占めています。とは言え日本ではあまりイスラム教に馴染みがありません。そのため、ハラールについてもまだ知らない人が多いですが、世界を見渡せばハラールフードは決して珍しいものではないのです。
観光や留学などで日本を訪れるムスリムも年々増えているため、非ムスリムの日本人がハラルフードについてある程度理解しておくことは重要と言えます。
イスラム教をどこよりも分かりやすく解説!教典の教え、食事・礼拝・服装ルールなど | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
ハラルフードの条件
ハラルフードの条件は思ったよりも複雑ではなく、主に気を付けたいのは以下の3点です。
- 豚肉・豚由来の成分が含まれていないこと
- アルコールが含まれていないこと
- 食肉はイスラム法に則った方法で屠畜されていること
豚肉・豚由来の成分が含まれていないこと
イスラム教で禁じられているもの(ハラーム)の中でも、ムスリムが特に避けるようにしているのが豚です。豚は不浄の動物とされており、豚肉だけでなく、以下のように豚由来の成分が含まれている食品も口にしません。- 豚肉を使った加工食品(ソーセージ、ベーコン)
- 豚のエキスや油脂(ラード、とんこつスープ)
- 調味料・添加物に含まれる豚由来成分(ゼラチン、コラーゲン、乳化剤、ショートニング)
さらに、ハラールな食材であっても、一度豚肉を使った料理を供するのに使ったお皿や、豚肉を切るのに使ったまな板や包丁、トンカツを揚げた油などを使用するとNGになってしまいます。
アルコールが含まれていないこと
イスラム教でビールやワインなどのお酒が禁じられていることを知っている人は多いと思いますが、実はお酒だけでなく、醤油、みりん、味噌などのアルコールが添加されている調味料もNGです。ただし、豚はほぼ全てのムスリムが避ける一方で、アルコールに対する考え方は人や国によって差があります。実際、国民の90%以上がムスリムであるトルコでは飲酒はOKで、現地のトルコ人はもちろん、旅行者もレストランやメイハーネ(居酒屋のようなもの)で気軽にお酒を楽しめるのです。
トルコの人々は皆イスラム教徒?政教分離の国トルコの宗教事情
食肉はイスラム法に則った方法で屠畜されていること
イスラム教において豚肉を口にすることは禁じられていますが、豚肉以外の食肉を口にする場合には、イスラム法に則って適切な処理が施されていることが必要となります。適切な処理がされていない食肉については豚肉同様、口にすることは出来ません。
では、適切な処理とはどのような方法なのか?コーランにも記されているイスラム教の屠畜について説明していきます。
まず、ムスリムが食肉を口にする場合、非ムスリムの人間が屠ったものは食べられません。食用として認められるのはムスリム、及びイスラム教と同じ啓典の民(ユダヤ教徒、キリスト教徒)が屠った肉のみとなります。
次に屠畜の手法ですが、日本では基本的に気絶させてから失血させるノッキングという手法がとられていますが、イスラムの考えではこの方法は合わないとされ、イスラム教では生きている状態で動物の頸動脈を切る手法をとります。なぜなら、死んだ動物はハラームとされており、イスラム教ではノッキングで失神している状態が生きているとみなされない可能性があるからです。
そして、屠畜の際には必ず神に感謝して「ビスミッラーヒルラッフマーニルラヒーム(神の御名において)。アッラーフ アクバル(神は偉大なり)」と唱えます。
こうして屠畜された肉のみをムスリムは口にすることができます。
ハラルフードであることを証明する「ハラール認証」とは?
ハラール認証とは、対象となる商品などがイスラム法に則って生産、提供されたものであることを認証機関が監査して認めた証です。ハラールとハラームについて理解をしていても、近年では加工品や輸入品なども増えたことで、一見してハラールを判断するのが難しくなってきました。そこでムスリムが安心して食品などの商品を購入できるようにと、ハラール認証は誕生しました。ハラール認証は、1960年頃にマレーシアで始まりました。マレーシアで認証が行われた背景には、多民族、多宗教が関係しています。マレーシアの認証は国が運営している「マレーシア連邦政府総理府イスラム開発庁(JAKIM/ジャキム) 」で行われており、世界で唯一、政府機関がハラール認証を付与しています。マレーシアのハラール認証は、イスラム教の聖地があるサウジアラビアに次いで厳しい規格とされています。
また、マレーシアのお隣、ムスリム人口が世界で最も多いインドネシアの認証機関「インドネシア・ウラマー評議会(MUI)」も厳しい評価基準を保持しています。
中東のイスラム諸国であれば、市場に並ぶ食品などはハラールであることが基本ですが、日本のような非イスラムの国で生活するムスリムやムスリム観光客にとっては、食事や食材などを選ぶ際にこのハラール認証マークがとても重要になるのです。
ハラール認証の基準・チェックポイント
ハラールの対象は食品だけにとどまらず、健康食品、化粧品、生活用品、医療品、そして商店や飲食店、ホテルなど幅広い分野に及びます。そしてこれらがハラール認証を取得する際、大きく分けて4つのチェックポイントがあります。
- 原材料:ハラールに対応した飼料で飼育されているか、豚と隔離して家畜を飼育しているか、香料や調味料にいたるまでハラール性を確認した原材料を調達しているか、など
- 保管状況・製造ライン:豚肉等のハラーム製品と隔離した施設で処理・加工がされているか、包装材の原料に動物性油脂が使用されていないか、など
- 従業員:従業員はハラールやハラームについて十分に理解できているか、など
- 管理体制:ハラーム製品とコンテナや倉庫を隔離して輸送しているか、ハラーム製品と物理的に隔離して保管・陳列がされているか、など
例えば、飲食店がハラール認証を取得する場合、台所の調理器具は全てハラーム食材を扱っていないものに限られます。店内にアルコール類も置いてはいけません。そして調理人はムスリムでなければいけません。
このように、認証を受けるにあたっていくつもの厳しいチェックポイントをクリアしなければなりません。
ハラール認証の問題点
ハラール認証機関は世界に300以上あるとされていますが、世界統一基準がありません。おおまかなチェックポイントには変わりがありませんが、認証機関によって判断や指導内容が異なります。例えば、工場全体を対象として判断する機関もあれば、同じ工場内でハラール以外のものを製造していても、製造ラインごとに判断して、チェックした製造ラインに対して認証を付与する機関もあります。
また、宗教に対する解釈や文化の相違などから、ハラール規格の内容やハラール認証制度そのものが国や地域によって異なります。そのため、どこの国でも通用するというハラール認証はありません。ただ、厳しい認証基準を持つマレーシアのJAKIMとインドネシアのMUIの認証を得た商品のハラール性はイスラム世界でも安全性が高いと言われています。
日本国内のハラール認証機関
日本国内にも多数のハラール認証機関がありますが、その中でも他国の認証機関から公認を受けている機関は下記となります。
- 宗教法人日本ムスリム協会(JMA):https://www.muslim.or.jp/
- NPO法人日本ハラール協会(JHA):https://jhalal.com/
- 宗教法人日本イスラーム文化センター(JIT):https://www.islam.or.jp/
- 一般社団法人ムスリム・プロフェッショナル・ジャパン協会(MPJA):https://mpja.jp/
- NPO法人日本アジアハラール協会(NAHA):https://web.nipponasia-halal.org/
- エミレーツ・ハラールセンター(EHC)
ハラルフードが購入できるお店はある?
日本で生活するイスラム教徒(ムスリム)の人口はまだそれほど多くないため、一般的なスーパーでハラールであることが証明された食材を購入するのは難しいのが現状です。しかし、カルディなど輸入食品を取り扱う店では、ハラルフードが販売されていることがあります。また、日本にもハラール認証機関は複数あり、飲食店など業者向けにハラール認証を取得した食材を製造・販売している企業もあります。一般の方でも、業務スーパーなどでハラール認証を取得した食品や調味料を購入できます。
SaidShop(サイードショップ)やHalal Store Japanなど、ムスリム向けにハラルフードを販売している通販ショップもあります。
東京ジャーミイハラールマーケット
トルコや世界中のハラール商品は、代々木上原駅から徒歩5分程の場所にある日本最大のトルコ系イスラム教のモスク「東京ジャーミイ」に併設されているお店「ハラールマーケット」で購入出来ます。オンラインショップもありますので、地方の方でも購入可能です。
住所 | 151-0065 東京都渋谷区大山町1-19 |
電話番号 | 03-5790-0760 |
入場料 | なし |
公式サイト | https://tokyocamii.org/ja/ |
オンラインショップ | https://halalmarket.tokyocamii.org/ |
日本最大のモスク「東京ジャーミイ」はトルコの魅力が詰まった場所 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
日本食も!ハラルフードが食べられるレストラン
レストランでハラール認証を受ける際、条件のひとつに料理人もムスリムであることがあります。しかし、日本では全ての条件を満たすのは難しいのが現状です。そのため、調理人がムスリムでない場合は、少なくともそのお店の中で最低1人はハラール認証についての講習を受ける必要があります。
しかし、日本でも最近ではハラールフードを提供するレストランが増えてきました。日本に数多くあるハラールフードを提供するレストランの中から、気になるレストランをピックアップしてみましたので紹介します。
「帆のる」ハラールラーメンが食べられるお店(東京/大阪)
鶏白湯のハラールラーメンが食べられるハラールレストランです。ラーメンの他に、すき焼きやたこ焼きなども提供しています。日本を訪れるムスリムに人気のあるインターネットサイト「Halal Navi」の人気ランキングで2018年、2019年と2年連続1位を獲得した、海外でも評価の高いラーメン屋です。東京、大阪以外にもインドネシアのジャカルタに店舗を構えています。
住所 | (恵比寿店) 東京都渋谷区恵比寿南1-23-1 亜米利加橋ビル1F (大阪なんば店) 大阪府大阪市浪速区元町2-5-27 |
電話 | (恵比寿店) 03-5734-1667 (大阪なんば店) 06-6634-2122 |
公式サイト | http://halalramen-honolu.net/index.html#top |
「浅草 すし賢」東京で最初のハラール寿司屋(東京)
東京で最初のハラール寿司屋で、料理に使われる全ての材料(醤油、お酢、米など)はハラールのものを使用しているのでムスリムも心配する必要がありません。住所 | 東京都台東区浅草2-11-4 |
電話 | 050-3184-0547 |
公式サイト | https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13010528/ |
「Halal Kobe Beef Nagomi」世界初のハラール神戸牛専門店(大阪)
日本三大和牛の1つとされる神戸牛ですが、ハラール神戸牛として認定されるのは僅かなので、ハラール神戸牛はとても希少価値が高いと言われています。その為、料理の値は張りますが、世界中からムスリム旅行者がハラール神戸牛を求めて訪れます。ムスリムが安心して過ごせるように礼拝スペースやウドゥ用水場も用意されている予約必須のお店です。ハラール認証店でもあるため、アルコールの提供はありません。
住所 | 大阪府大阪市中央区日本橋2-12-21 |
電話 | 06-6606-9278 |
公式サイト | https://www.halalnagomi.com/ |
上記以外にもハラールフードを取り扱っているレストランはたくさんあります。ムスリム向けグルメ検索サイトには多数のレストランが掲載されているので是非参考にしてみてください。
【ムスリム向けグルメ検索サイト】 https://www.halalgourmet.jp/ja
トルコ料理おすすめランキングBEST20!ケバブだけじゃない絶品グルメを紹介 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
イスラム教だけじゃない!宗教による食事事情
イスラム教の豚肉やアルコールを口にしてはいけないというのは有名ですが、このような食事事情を持った宗教はイスラム教だけではありません。ここでは数多くある宗教の中でもイスラム教と並んで厳しい規定を持つ、ユダヤ教徒とヒンドゥー教の食事事情について説明していきます。ユダヤ教
ユダヤ教でもイスラム教同様に、食べてはよいものと食べてはいけないものが厳格に区別されています。これは、
主にユダヤ教の啓典「旧約聖書」に基づいた「カシュルート(適正食品規定)」によるもので、食べてよいものは「コーシェル(コーシャ)」と言います。そして、ユダヤ教で食べてはいけないものは下記となります。
- 豚、うさぎ、馬、らくだ、もしくは宗教上の適切な処理が施されていない肉
- 血液
- イカ、タコ、エビ、カニ、ウナギ、貝類
- 乳製品と肉料理の組み合わせ、など
ユダヤ教の食事事情は比較的イスラム教と似ていますが、アルコールについては制限がありません。豚やうさぎなど上記にない食肉については、“宗教上の適切な処理が施されている”ことが条件となるため、肉類そのものを食べることを忌避するユダヤ教徒もいます。
そしてユダヤ教独特なのが、一緒に扱ってはいけない食材があることです。その代表格が「乳製品と肉料理の組み合わせ」です。“お腹の中で乳製品と肉料理が一緒になってはいけない”という意味合いになります。これは、旧約聖書に「子山羊をその母の乳で煮てはならない」と記述されていることによるものです。また、同じ料理の中に肉と魚の両方を使うこともできません。
イスラム教のハラール認証と同じように、ユダヤ教でもコーシャ認証があります。アメリカではコーシャ認証を受けている食品が1番安全とも言われ、ユダヤ教徒でなくてもあえてコーシャ食品を選択する人が増えているそうです。
ヒンドゥー教
インドを中心に、ネパールやスリランカなどに信者が多くいるヒンドゥー教ですが、このヒンドゥー教も食事についての規定を持っており、食べてはいけないものは下記となります。
- 肉全般(牛、豚も)
- 魚介類全般
- 卵
- 生もの
- 五葷(にんにく、にら、らっきょう、玉ねぎ、あさつき)
中には肉食をする人もいますがその場合には、鶏肉、羊肉、ヤギ肉に限定されます。絶対的に避けるのが牛と豚で、牛は神聖な動物として崇拝され、一方の豚は不浄な動物とみなされ、基本的に食べることがありません。
お肉以外でも、動物の肉や骨を使ったエキスやブイヨン、ゼラチン、牛乳の脂肪が使われるバターやラード、牛脂、魚油、馬油などの動物性脂もNGです。また、魚介類全般も動物性の食べ物として忌避する人もおり、その場合“鰹節の出汁”も対象になってきます。
一部宗教の食べてはいけないものまとめ
- 宗教上の適切な処理が施されていない肉、血液:イスラム教、ユダヤ教
- 豚:イスラム教、ユダヤ教、ヒンドゥー教
- 牛/魚介類全般:ヒンドゥー教
- 馬/うさぎ:ユダヤ教、ヒンドゥー教
- いか、たこ、えび、かに、うなぎ、貝類:ユダヤ教、ヒンドゥー教
- アルコール類:イスラム教