トランジットとトランスファーの意味の違いは？乗り継ぎの流れや注意点

飛行機で旅行をされる際によく耳にする言葉の一つに空港での「トランジット」や「トランスファー」があります。日本語ではいずれも乗り継ぎや乗り換えと表記をされますが、それぞれ意味が異なります。

トランジットやトランスファーについて正しく理解しておかないと、上手く乗り継ぎできず予定通りに最終目的地に到着できないケースがあるため要注意。トランジットとトランスファーの違い、経由地での乗り継ぎ方法や注意点を解説します。

トランジットとトランスファーの違い

航空便は、搭乗地から目的地までノンストップで運行する「直行便」と、途中で別の空港に一旦着陸する「乗り継ぎ便」の2つに大別され、さらに乗り継ぎの方法は「トランジット（transit）」と「トランスファー（transfer）」に分かれます。

これに加え、「ストップオーバー（stop over）」というパターンもあります。それぞれの違いは以下の通りです。

トランジット（transit）：同じ飛行機に再度搭乗する

トランジットは英語で「transit」と表記され、最終目的地に到達をする前に別の空港を「通過する」という意味です。トランジットをする理由は、長距離のフライトや機材の大きさなどの関係で、機内食や飛行機の燃料を途中の空港で補給する必要があるためです。

そのためトランジットの場合は、経由空港で飛行機の乗り換えは基本的に発生せず、出発地で搭乗した飛行機と同じ便名・機材でそのまま最終目的地に行きます。日本発着のフライトでは、ヨーロッパやアフリカ、南米など遠い場所に移動するときにトランジットが発生する場合があります。

トランジットの流れ

トランジットは補給が目的のため、経由空港での滞在時間は一般的には30分～1時間半程度です。飛行機の補給を行っている間、乗客は機内で待機をするケースと、機内清掃のために一度飛行機から降りるケースがあります。

飛行機から降りる場合は、トランジットカードを受け取り、経由空港内のトランジットルームでアナウンスがあるまで待機します。トランジットは同じ飛行機を使用するため、出発時に空港のチェックインカウンターで預けた荷物は最終目的地まで乗客と一緒に行くことになり、ロストバゲージ（荷物紛失）になる可能性は低いです。

トランジットの注意点

一旦飛行機から降りる際に渡されるトランジットカードは、補給と清掃が終了して再搭乗する際に必要ですので、紛失しないようにきちんと保管してください。また、貴重品などは機内に置かず、必ず一緒にお持ちいただく必要があります。

基本的にトランジットは短時間で行われることが多いですが、稀に長時間のトランジットがある場合は、航空会社がケータリングなどを提供するケースもあります。トランジットの場合は経由空港でどのように待機したらいいのか、客室乗務員より説明があるため注意深くアナウンスを聞いて行動してください。

トランスファー（transfer）：別の飛行機に乗り換える

トランスファーは英語で「transfer」と表記され、「移転する」と訳されます。最終目的地に到達する前に、途中の空港にて24時間未満で飛行機を乗り換えるという意味です。トランスファーは飛行機だけでなく、鉄道やバスなどの乗り換えでも使われる単語です。

トランスファーをする理由は、航空会社が運航する出発地からの路線に最終目的地が含まれておらず、他の路線に乗り換える必要があるためです。乗換の際、航空機の離発着が多く大規模で、特定の航空会社が拠点として利用している空港であれば、待ち時間も短く乗り換えがスムーズに行く可能性が高くなります。

トランスファーの流れ

着陸地が最終目的地の乗客はそのまま入国審査に向かいますが、トランスファーの乗客は基本的には「transfer」や「flight connection」と書かれた案内に従って、出発ゲートに移動します。

移動の際の導線に注意し、最終目的地に行く航空機の便名、出発ゲート番号、出発時間などを必ず確認して乗り遅れがないように注意が必要です。特に出発地と乗換地と最終目的地で時差がある場合は、手持ちの時計が現地時間に合っているかご確認ください。

大きな空港になるほど乗り継ぎ時の移動に時間がかかり、到着ゲートから出発ゲートまで別のターミナルにバスや電車などで移動をしなければいけない場合もあります。

乗り換え時間が長い場合は、空港内で買い物を楽しむことができ、空港によってはシャワーなどの施設利用や空港内ホテルで休憩するなどの有料サービスが利用できるケースもあります。また航空会社によって、長時間の乗り換えを利用して、乗客に対して市内観光ツアーを実施していることもあります。

トランスファーの注意点

トランスファーの場合でも、稀に乗換空港で荷物を受け取り一度入国して、航空会社のチェックインカウンターで再度チェックインし荷物を預け、最終目的地までの航空券を受け取り、再度出国手続きが必要になることがあります。

また、出発ゲートに行く前に乗継手続きカウンター(transfer desk)に立ち寄り航空券を受け取る場合もあります。出発地の空港で、最終目的地までの航空券が発券されているか確認をして、乗り換えに間違えがないように移動をしましょう。

トランスファーは乗換地で機材や便名が変わりますが、最終目的地までの航空券が出発空港で発券されている場合は、基本的に出発空港のチェックインカウンターで預けた荷物は最終目的地まで自動的に運ばれます。

ただし、乗換空港で空港スタッフが荷物の乗せ換えを行うため、大きな空港になればなるほどヒューマンエラーによるロストバゲージが発生しやすくなってしまいます。

ストップオーバー（stop over）：経由空港に24時間以上滞在する

ストップオーバーは最終目的地に向かう途中の乗換地で24時間以上滞在をすることを指します。24時間未満でも一度空港の外に出たり、乗り継ぎ中に日付を跨いだりする場合もストップオーバーと規定していることもあります。

長時間のフライトで身体的な負担が大きい場合に体を休めるために乗換地のホテルで滞在するケースや、スケジュールに余裕がありせっかくなので乗換地で観光などを楽しみたいという方がストップオーバーを利用されています。

航空会社によってはストップオーバーができないチケットがあり、ストップオーバーできる場合でも追加料金が発生する場合がありますので、旅行計画を立てる際に注意が必要です。

トランジットとトランスファーの区別はあいまいなので注意！

日本の旅行会社などでは飛行機の乗り換えが発生する・しないにかかわらず、最終目的地までの途中で別の空港を経由する場合は一律でトランジットと呼ぶケースが多くなっています。

また、経由地で一時的に入国をするために発行される査証はトランジットビザ（transit visa）と呼ばれるため、経由地でどのように行動すべきかを、トランジットとトランスファーという言葉のみから判断するのは難しいのが実状です。

例えば1つのフライトで、機内にそのまま残って次の目的地に行くトランジットの乗客と、飛行機を降りた後に入国をする乗客と、降りた後にトランスファーの乗り換えをする乗客の3グループが一緒に搭乗をする場合もあります。

そのため直行便ではない場合は、ご自身が経由地でどのように行動すべきか事前に確認することをおすすめします。乗換空港で言葉の不安もあると思いますので、出発前に航空会社やツアー会社に事前確認することで、移動の不安が解消されると思います。

現地の国内線に乗り換え（トランスファー）する方法

日本からの直行便があっても、目的地となる都市には直接行けないケースもあります。その場合は、到着した空港で現地の国内線にトランスファーする必要があります。

例えば、日本からトルコのカッパドキアに行く場合、カッパドキアの最寄りの空港までの直行便はないため、多くの場合はトルコのイスタンブール空港でトルコの国内線にトランスファーします。

イスタンブール空港に到着したら、国内線への乗り継ぎを示す「domestic transfer」の案内に沿って進んでいただき、国内線ターミナルに移動する前に、国内線乗継客用のパスポートコントロールで入国審査を行います。入国審査後に国内線の出発ゲートに向かい、カッパドキア空港まで飛行機での移動となります。

カッパドキアの空港から日本に帰る場合は逆の流れとなり、国内線でイスタンブール空港に到着したら、国際線への乗り継ぎを「international transfer」の案内に従って移動し、パスポートコントロールで出国審査後に、国際線の出発ゲートに向かい日本行きのフライトに搭乗します。

国際線と国内線間の乗り継ぎ時に航空機に預ける荷物は最終目的地まで運ばれるケースが多いですが、出発空港のチェックインカウンターで確認するようにしましょう。特に国際線で到着し、国内線に乗り継ぐ際は、荷物の税関検査のために荷物を一度受け取り、再び預けなければならない場合もあります。

トランジットやトランスファーをスムーズに行うためのポイント

飛行機の乗り継ぎの際は、ゲート間の移動時間や、セキュリティーチェックにかかる時間などを考慮に入れて、必ず時間に余裕を持って、出発ゲートに到着をするように行動をする必要があります。

基本的にはどの空港も使われている英単語や案内の表記は同じとなるため、乗り継ぎの際の英単語を覚えておくとスムーズに空港で行動できると思います。

• Flight Connection：乗り継ぎ（transferと同義）
• Transfer Desk：乗り継ぎ手続きカウンター
• Transit Visa：経由地で一時的に入国するために発行される査証
• Domestic Transfer：国内線への乗り継ぎ
• International Transfer：国際線への乗り継ぎ
• Departure Time：出発時刻
• Baggage Claim：荷物受け取り
• Security Check：手荷物検査
• Boarding Gate：搭乗口
• Immigration：入国審査
• Transit Area：乗り継ぎ客が経由空港で入国せずに滞在できるエリア
• Transit Lounge：乗り継ぎ客用の待合室

乗り換えに失敗したときの対処法

機材トラブルなど航空会社の責任で搭乗フライトの到着が遅れ、次のフライトに乗換が出来なかった場合は、基本的に航空会社が振替フライトの手配や、すぐにフライトがない場合は宿泊ホテルなどの手配を行ってくれます。

ただし、乗り継ぎフライトが別の航空会社の場合の対応はケースバイケースになるため、必ずしも補償が受けられるわけではありません。

もし乗客の責任で乗換えが出来なかった場合は、チケットの種類によりますが、基本的には新しい航空券の購入が必要になるなど、乗客にとって大きな損失になることがあります。例えば、往路のフライトで乗り継ぎができなかった場合、復路のチケットが無効になる場合があります。

万が一乗り換えができなかった場合は、どのような解決方法があるか利用した航空会社のカウンターまたは空港のグランドスタッフに相談してください。また、ツアーなどに参加をされている場合は、旅行会社に乗り継ぎができなかった旨の連絡を行う必要があります。