トルコの人気世界遺産
中世アナトリアの木造多柱式モスク群(文化遺産・2023年)
中世アナトリアの木造多柱式モスク群は、トルコで21番目に登録された、今注目の世界遺産です。2023年9月にサウジアラビアで開催された第45回世界遺産委員会で、ゴルディオンの古代都市と併せて新たに登録されました。
今回世界遺産に登録された中世アナトリアの木造多柱式モスク群は、13世紀後半から14世紀半ばにかけてアナトリア(現在のトルコ)で建設された5つの低層モスクで構成されています。
中世アナトリアの木造多柱式モスク群を特徴付けているのは、石造りの外壁と、木造の天井・屋根を支える何列もの木製の内部柱からなるハイポスタイル(多柱式建築)と呼ばれる独特の構造設計です。その建築様式に加え、建具や装飾、調度品に見られる精巧な木彫りや手仕事も、これらのモスクが評価されているポイントです。
アフヨンカラヒサール大ジャーミィ(Afyonkarahisar Ulu Camii)は、1272年にハサン・ヌスレトゥッディンによって建設された、アナトリアの木造モスク建築の代表的な例です。セルジューク王朝時代の建築の傑作として称賛されています。
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木造の梁屋根が9つの身廊を覆い、鍾乳石装飾の柱頭を持つ40本の木造柱に支えられています。1341年にはアブドゥッラー・ベイによる初の修復が行われ、その碑文が扉に残っています。ミナレットは煉瓦製で、装飾には菱形の釉薬が施されています。
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モスクの名前は、1330年に建物を修繕したアヒ同業組合の指導者シェレフェッディンに由来します。また、このモスクに面して位置しているシェレフェッディンの墓の壁にライオン像が埋まっていたことから、「ライオンの家」を意味するアスランハネ(Aslanhane)という呼び名でも知られています。
1本のミナレットを有するモスクは400平方メートルの正方形。以前の建物で使われていた建築資材を流用しているのが特徴で、24本の大きな柱で支えられた木造の屋根に、3つの門と12の窓があります。ミフラーブはセルジューク朝時代のタイルで装飾されています。
エシュレフオール・ジャーミィ(Eşrefoğlu Camii)は、アナトリア中央部のコンヤ県ベイシェヒルにあるモスクです。1296年、アナトリア中西部の小さなベイリク(セルジューク朝時代の統治者が設立した部分的な独立公国)のスレイマン・ベイが建設を命じました。
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長方形のモスクの屋根は高さ7.5メートルにおよぶ42本の木製の柱で支えられており、2つの小さな門と35の窓があります。この時代のものとして現存する最大のモスクで、当時の建築的特徴が顕著に見られます。1302年に死去したスレイマン・ベイは、モスクの隣の墓地に埋葬されました。
シヴリヒサール大ジャーミィ(Sivrihisar Ulu Camii)は、エスキシェヒル県シヴリヒサルにあるモスクです。セルジューク朝のスルタン・カイクバード1世の時代、1231年から1232年にかけて建てられました。モスクの外壁は石積みで造られており、屋根は67本の木造の柱に支えられています。モスク内部にある、クルミの木に刻まれた幾何学模様と花模様の装飾が美しいミンバル(説教壇)が有名です。
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モスクの外壁は切石で造られており、天井は4本の柱に支えられています。モスク内部は植物性の絵の具で彩られているのも特徴です。芸術的な装飾が施されたモスクの門のオリジナルは、現在カスタモヌ民族学博物館に保管されています。
今回世界遺産に登録された中世アナトリアの木造多柱式モスク群は、13世紀後半から14世紀半ばにかけてアナトリア(現在のトルコ)で建設された5つの低層モスクで構成されています。
中世アナトリアの木造多柱式モスク群を特徴付けているのは、石造りの外壁と、木造の天井・屋根を支える何列もの木製の内部柱からなるハイポスタイル(多柱式建築)と呼ばれる独特の構造設計です。その建築様式に加え、建具や装飾、調度品に見られる精巧な木彫りや手仕事も、これらのモスクが評価されているポイントです。
目次
中世アナトリアの木造多柱式モスク群の観光の見どころ
中世アナトリアの木造多柱式モスク群は、それぞれトルコの異なる県に現存している以下の5つのモスクで構成されています。- アフヨンカラヒサール大ジャーミィ(アフヨンカラヒサール県)
- アヒ・シェレフェッディン・ジャーミィ(アンカラ県)
- ベイシェヒル・エシュレフオール・ジャーミィ(コンヤ県)
- シヴリヒサール大ジャーミィ(エスキシェヒル県)
- カサバキョイ・マフムト・ベイ・ジャーミィ(カスタモヌ県)
アフヨンカラヒサール大ジャーミィ
アフヨンカラヒサール大ジャーミィ(Afyonkarahisar Ulu Camii)は、1272年にハサン・ヌスレトゥッディンによって建設された、アナトリアの木造モスク建築の代表的な例です。セルジューク王朝時代の建築の傑作として称賛されています。
セルジューク朝とはどんな国家?世界史における重要性と興亡の歴史
木造の梁屋根が9つの身廊を覆い、鍾乳石装飾の柱頭を持つ40本の木造柱に支えられています。1341年にはアブドゥッラー・ベイによる初の修復が行われ、その碑文が扉に残っています。ミナレットは煉瓦製で、装飾には菱形の釉薬が施されています。
アヒ・シェレフェッディン・ジャーミィ
アヒ・シェレフェッディン・ジャーミィ(Ahi Şerafettin Camii)は、1290年のセルジューク朝・メスド2世の治世に建設された、トルコに現存する最古のモスクの一つです。アンカラの旧市街、アンカラ城の隣に位置しています。【トルコの首都】アンカラ旅行のおすすめ観光名所7選!治安や気候も解説
モスクの名前は、1330年に建物を修繕したアヒ同業組合の指導者シェレフェッディンに由来します。また、このモスクに面して位置しているシェレフェッディンの墓の壁にライオン像が埋まっていたことから、「ライオンの家」を意味するアスランハネ(Aslanhane)という呼び名でも知られています。
1本のミナレットを有するモスクは400平方メートルの正方形。以前の建物で使われていた建築資材を流用しているのが特徴で、24本の大きな柱で支えられた木造の屋根に、3つの門と12の窓があります。ミフラーブはセルジューク朝時代のタイルで装飾されています。
エシュレフオール・ジャーミィ
エシュレフオール・ジャーミィ(Eşrefoğlu Camii)は、アナトリア中央部のコンヤ県ベイシェヒルにあるモスクです。1296年、アナトリア中西部の小さなベイリク(セルジューク朝時代の統治者が設立した部分的な独立公国)のスレイマン・ベイが建設を命じました。
コンヤを10倍楽しむための観光ガイド!メヴラーナ教と文化・芸術の街
長方形のモスクの屋根は高さ7.5メートルにおよぶ42本の木製の柱で支えられており、2つの小さな門と35の窓があります。この時代のものとして現存する最大のモスクで、当時の建築的特徴が顕著に見られます。1302年に死去したスレイマン・ベイは、モスクの隣の墓地に埋葬されました。
シヴリヒサール大ジャーミィ
シヴリヒサール大ジャーミィ(Sivrihisar Ulu Camii)は、エスキシェヒル県シヴリヒサルにあるモスクです。セルジューク朝のスルタン・カイクバード1世の時代、1231年から1232年にかけて建てられました。モスクの外壁は石積みで造られており、屋根は67本の木造の柱に支えられています。モスク内部にある、クルミの木に刻まれた幾何学模様と花模様の装飾が美しいミンバル(説教壇)が有名です。
マフムト・ベイ・ジャーミィ
マフムトベイ・ジャーミィ(Mahmut Bey Cami)は、カスタモヌ県カサバ村にあるモスクです。1366年にカンダリッド家のマフムト・ベイによって建立されました。このモスクの建築技術は独特で、ミフラーブを除いてセメントは一切使われておらず、屋根も釘を含む金属部材を全く使わずに造られています。モスクとは?世界の美しいモスク15選と日本の2大モスクを紹介!
モスクの外壁は切石で造られており、天井は4本の柱に支えられています。モスク内部は植物性の絵の具で彩られているのも特徴です。芸術的な装飾が施されたモスクの門のオリジナルは、現在カスタモヌ民族学博物館に保管されています。