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イスラム教で豚がタブーな理由とは?豚肉を食べたらどうなる?宗教的背景を解説
イスラム教徒が「豚肉は食べてはいけない」ということはよく知られています。しかし、日本では当たり前のように食べられている豚肉が、なぜイスラム教ではタブーなのでしょうか。また、万が一食べてしまった場合はどうなるのでしょうか。
今回はイスラム教で豚がタブーとされる理由について、宗教的背景などもまじえて解説します。
ムスリム(イスラム教徒)が豚肉を食べてはいけない理由は、イスラム教の啓典である「コーラン(クルアーン)」に食べてはいけないと書いてあるからです。
イスラム教では、物事を「ハラール(ハラル)」(イスラム法的によいもの)と「ハラーム(ハラム)」(禁忌品)に分けています。飲食物も含まれており、ハラームの代表格が豚肉となります。コーランにもハラームとするものに「死肉、血、豚肉、およびアッラー以外の名で供えられたもの」(第2章173節)と明記されています。
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コーランとは、アッラー(神)が預言者ムハンマドに伝えた言葉がそのまま書かれたものです。コーランの内容には神が人間に対して望むことなども含まれ、服装や日頃の行ない、ムスリムとしての義務、推奨される行動、忌避などが書かれています。
コーランには豚肉を食べてはいけないと書かれていますが、実はその理由までは記されていません。しかし、ムスリムはそれに対して疑問を抱くことはありません。なぜなら、コーランに記されていることは「アッラーの言葉」として絶対であり、アッラーの言葉に疑問を頂く理由はないからです。神がよいとする食べ物だけを食べるのが神への信仰であり、それ以外は背信行為にあたるのです。
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なお、イスラム教以外にもユダヤ教、セブンスデー・アドベンチスト教会でも豚肉を食べることが禁じられています。
コーランに明記されているわけではありませんが、豚が忌み嫌われるのにはいくつかの理由があります。
上記のような考えから、アラビア半島ではもともと豚を不浄な存在として忌み嫌う風習があり、ハラームとされる要因になったとも考えられています。
また、同じく豚肉を禁じているユダヤ教では「ヒヅメが分かれていて反芻(はんすう)する動物(牛や羊など)しか食べてはいけない」という教えが啓典である旧約聖書(タナハ)にあります。ユダヤ教はイスラム教のルーツであり、イスラム教は旧約聖書からも影響を受けていることから、これも理由の1つだと考えられています。
豚は本来、清潔を好む動物なのですが、ムスリムは「豚=不浄の動物」と教えられていることから、豚に対して嫌悪感を抱く人が多くなっています。
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イスラム教で「豚肉を食べてはいけない」というのはよく知られていますが、実は豚肉だけでなく豚由来のものはすべて食べることが禁じられています。コーランで明確に禁じられているのは豚肉だけですが、大半のイスラム学者(ウラマー)が「豚から得られるものはすべて禁止」という見解です。
豚由来の食べ物としては、以下のような例が挙げられます。
ムスリムには豚肉以外にも口にしてはいけないものがあります。それが「お酒(アルコール)」です。豚肉同様、コーランで禁止されていることが理由です。
しかし、実は飲酒については最初から禁じられていたわけではありません。飲酒が禁じられたのは、ヒジュラ以降のメディナ啓示においてであるとされています。
飲酒が禁止となった理由は、酔っぱらったせいでコーランを読み間違えたり、宴席で暴力沙汰が起きたりするなどといった事態が起きたため、飲酒による危険行為や弊害を「悪魔の行ない」として禁じるようになったためです。
禁じられているのはビールやワインなどといったお酒だけではありません。アルコールが含まれる調味料も対象となるため、醤油やみりん、味噌などに含まれる微量なアルコールでさえも口にしてはいけません。
なお、イスラム教で飲酒が禁じられているのは現世においてのみです。「天国には酒の流れる川があり、悪酔いの心配なく自由に飲酒できる」とされています。
イスラム教「イスラーム」をどこよりも分かりやすく解説!教典の教え、食事・礼拝・服装ルールなど
イスラム教では飲酒が禁じられていますが、国民の90%以上がムスリムであるトルコでは、実はお酒が自由に飲めます。もちろん、トルコを訪れる観光客も同様です。これは、トルコ共和国の初めての大統領「ムスタファ・ケマル・アタテュルク」による政教分離によるものでした。
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トルコはもともとワインの発祥地の1つであり、ワイン造りの歴史は5000年以上にわたるほどです。ワインだけでなく、トルコビールの歴史も長いほか、「ラク(RAKI)」という名前の地酒もあります。
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トルコでは信仰の自由が認められており、またイスラム教の戒律についてもどこまで守るかは個人の判断に委ねられています。トルコはお酒が自由に飲める環境ですが、お酒を飲むムスリムもいれば、1滴も飲まない敬虔なムスリムもいるのです。
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万が一、ムスリムが豚肉や豚由来のものを食べてしまった場合でも、わざとでなければ罪にはなりません。
イスラム教ではアッラーだけが完全な存在であり、人間は弱くて不完全なものだとされています。そのため、禁忌を破ってしまった場合に対しても、「貧しい人に寄付しなさい」といった対処法がコーランに書かれています。また、ほかに食べる物がない場合には、餓死するよりも禁止された食べ物を食べるほうがよいとされています。
お酒(アルコール)についても同様で、万が一飲酒をしてしまった場合は、しっかりとお祈りをしたり貧しい人に施しをしたりすることで、挽回すればよいとされています。
イスラム圏であれば心配はありませんが、日本のような宗教上の食事制限がほとんどない国では、ムスリムは食事にとても苦労します。そして、ムスリムが安心して食事ができるよう利用されているのが、「ハラール認証」という制度です。日本でも最近「HALAL」という文字を見かける機会が多くなっています。
日本で生活するムスリムや、日本を旅行で訪れたムスリムが食事をする際には、ハラール認証を受けた「HALAL」の表示があるレストランや食品を頼りにするのです。ハラール認証を受けた食品・料理はハラールフードと呼ばれます。
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ムスリムが禁じられている食品を口にしないのは、食べ物の好き嫌いとは異なるものです。アレルギーに近いものといった方がわかりやすいかもしれません。豚肉をよく食べる日本人にとっては、ムスリムは食べられるものの選択肢が少ないという印象を受けるでしょう。しかし、豚以外であれば鶏や羊、牛、ラクダなど、実は食べられる肉のレパートリーは豊富なのです。
今回はイスラム教で豚がタブーとされる理由について、宗教的背景などもまじえて解説します。
目次
イスラム教で豚肉が禁じられている理由
ムスリム(イスラム教徒)が豚肉を食べてはいけない理由は、イスラム教の啓典である「コーラン(クルアーン)」に食べてはいけないと書いてあるからです。
イスラム教では、物事を「ハラール(ハラル)」(イスラム法的によいもの)と「ハラーム(ハラム)」(禁忌品)に分けています。飲食物も含まれており、ハラームの代表格が豚肉となります。コーランにもハラームとするものに「死肉、血、豚肉、およびアッラー以外の名で供えられたもの」(第2章173節)と明記されています。
ハラールの意味とは?イスラム教における良いこと悪いこと | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
コーランとは、アッラー(神)が預言者ムハンマドに伝えた言葉がそのまま書かれたものです。コーランの内容には神が人間に対して望むことなども含まれ、服装や日頃の行ない、ムスリムとしての義務、推奨される行動、忌避などが書かれています。
コーランには豚肉を食べてはいけないと書かれていますが、実はその理由までは記されていません。しかし、ムスリムはそれに対して疑問を抱くことはありません。なぜなら、コーランに記されていることは「アッラーの言葉」として絶対であり、アッラーの言葉に疑問を頂く理由はないからです。神がよいとする食べ物だけを食べるのが神への信仰であり、それ以外は背信行為にあたるのです。
コーランを分かりやすく解説!知られざる内容やイスラムにおける重要性とは? | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
なお、イスラム教以外にもユダヤ教、セブンスデー・アドベンチスト教会でも豚肉を食べることが禁じられています。
どうして「豚」がタブーなのか?
コーランに明記されているわけではありませんが、豚が忌み嫌われるのにはいくつかの理由があります。
- 豚は不浄の動物であると考えられている(習性や食べ物の不潔さから)
- 豚は病気にかかりやすい(豚肉を食べた人も病気になる可能性が高い)
上記のような考えから、アラビア半島ではもともと豚を不浄な存在として忌み嫌う風習があり、ハラームとされる要因になったとも考えられています。
また、同じく豚肉を禁じているユダヤ教では「ヒヅメが分かれていて反芻(はんすう)する動物(牛や羊など)しか食べてはいけない」という教えが啓典である旧約聖書(タナハ)にあります。ユダヤ教はイスラム教のルーツであり、イスラム教は旧約聖書からも影響を受けていることから、これも理由の1つだと考えられています。
豚は本来、清潔を好む動物なのですが、ムスリムは「豚=不浄の動物」と教えられていることから、豚に対して嫌悪感を抱く人が多くなっています。
ムスリムとは?日本人でも知っておきたいイスラム教徒の生活や基本ルール | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
豚肉だけじゃない!豚由来もすべてダメ
イスラム教で「豚肉を食べてはいけない」というのはよく知られていますが、実は豚肉だけでなく豚由来のものはすべて食べることが禁じられています。コーランで明確に禁じられているのは豚肉だけですが、大半のイスラム学者(ウラマー)が「豚から得られるものはすべて禁止」という見解です。
豚由来の食べ物としては、以下のような例が挙げられます。
- 豚肉を使った加工食品: ソーセージ、ベーコン、サラミなど
- 豚のエキスや油脂: ラード、豚骨スープ、豚骨ラーメンなど
- 調味料、添加物に含まれる豚由来の成分: ゼラチン、コラーゲン、乳化剤、ショートニングなど
イスラム教では飲酒も禁止!
ムスリムには豚肉以外にも口にしてはいけないものがあります。それが「お酒(アルコール)」です。豚肉同様、コーランで禁止されていることが理由です。
しかし、実は飲酒については最初から禁じられていたわけではありません。飲酒が禁じられたのは、ヒジュラ以降のメディナ啓示においてであるとされています。
飲酒が禁止となった理由は、酔っぱらったせいでコーランを読み間違えたり、宴席で暴力沙汰が起きたりするなどといった事態が起きたため、飲酒による危険行為や弊害を「悪魔の行ない」として禁じるようになったためです。
禁じられているのはビールやワインなどといったお酒だけではありません。アルコールが含まれる調味料も対象となるため、醤油やみりん、味噌などに含まれる微量なアルコールでさえも口にしてはいけません。
なお、イスラム教で飲酒が禁じられているのは現世においてのみです。「天国には酒の流れる川があり、悪酔いの心配なく自由に飲酒できる」とされています。
イスラム教「イスラーム」をどこよりも分かりやすく解説!教典の教え、食事・礼拝・服装ルールなど
トルコはイスラム圏なのにお酒が飲める!
イスラム教では飲酒が禁じられていますが、国民の90%以上がムスリムであるトルコでは、実はお酒が自由に飲めます。もちろん、トルコを訪れる観光客も同様です。これは、トルコ共和国の初めての大統領「ムスタファ・ケマル・アタテュルク」による政教分離によるものでした。
【トルコ建国の父】ムスタファ・ケマル・アタテュルクの歴史と偉業 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
トルコはもともとワインの発祥地の1つであり、ワイン造りの歴史は5000年以上にわたるほどです。ワインだけでなく、トルコビールの歴史も長いほか、「ラク(RAKI)」という名前の地酒もあります。
トルコワイン・ワインテイスティング・ワイン醸造 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
トルコでは信仰の自由が認められており、またイスラム教の戒律についてもどこまで守るかは個人の判断に委ねられています。トルコはお酒が自由に飲める環境ですが、お酒を飲むムスリムもいれば、1滴も飲まない敬虔なムスリムもいるのです。
トルコの人々は皆イスラム教徒?政教分離の国トルコの宗教事情 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
豚を食べたらどうなる?
万が一、ムスリムが豚肉や豚由来のものを食べてしまった場合でも、わざとでなければ罪にはなりません。
イスラム教ではアッラーだけが完全な存在であり、人間は弱くて不完全なものだとされています。そのため、禁忌を破ってしまった場合に対しても、「貧しい人に寄付しなさい」といった対処法がコーランに書かれています。また、ほかに食べる物がない場合には、餓死するよりも禁止された食べ物を食べるほうがよいとされています。
お酒(アルコール)についても同様で、万が一飲酒をしてしまった場合は、しっかりとお祈りをしたり貧しい人に施しをしたりすることで、挽回すればよいとされています。
ムスリムにとって大事な「ハラール認証」
ムスリムが口にしてはいけないものの代表格が豚やお酒(アルコール)となりますが、単純に飲食しなければいいというわけではありません。実は、そのような食材に触れることも禁止されているのです。ハラームとされている食品を扱った調理器具を使用することも許されません。そのため、原料だけでなく食卓までのプロセスにも注意が必要なのです。イスラム圏であれば心配はありませんが、日本のような宗教上の食事制限がほとんどない国では、ムスリムは食事にとても苦労します。そして、ムスリムが安心して食事ができるよう利用されているのが、「ハラール認証」という制度です。日本でも最近「HALAL」という文字を見かける機会が多くなっています。
日本で生活するムスリムや、日本を旅行で訪れたムスリムが食事をする際には、ハラール認証を受けた「HALAL」の表示があるレストランや食品を頼りにするのです。ハラール認証を受けた食品・料理はハラールフードと呼ばれます。
ハラルフードとは?知っておくべきイスラムの食事のルールや認証基準 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
ムスリムが禁じられている食品を口にしないのは、食べ物の好き嫌いとは異なるものです。アレルギーに近いものといった方がわかりやすいかもしれません。豚肉をよく食べる日本人にとっては、ムスリムは食べられるものの選択肢が少ないという印象を受けるでしょう。しかし、豚以外であれば鶏や羊、牛、ラクダなど、実は食べられる肉のレパートリーは豊富なのです。