トルコ基本観光情報
ターコイズ(トルコ石)は美しいブルーが魅力!意味や産地、見分け方を解説
英名 | turquoise |
和名 | トルコ石 |
モース硬度 | 5~6 |
透明度 | 基本的に不透明 |
屈折率 | 1.6~1.65 |
比重 | 2.4~2.9 |
色 | 青~緑 |
主な産地 | イラン、アメリカ、チリなど |
誕生石 | 12月 |
石言葉 | 成功、繁栄、強運、健康、安全 |
ターコイズ(トルコ石)は世界中で愛される宝石
ブルーやグリーンの輝きが美しい「ターコイズ」。和名では「トルコ石」として馴染みがあり、誰しも一度はその色合いを見たことがあるのではないでしょうか?
ターコイズはネックレスやリングなどのアクセサリーとして人気があるだけではなく、色合いそのものが「ターコイズブルー」として、衣服や女性のネイルのカラーなどにも多く好まれていますね。
ターコイズ(トルコ石)の意味・語源は?
ターコイズの語源は、フランス語で「トルコの石」を意味する「pierre turquoise」に由来しています。トルコ石という名前のためにトルコが産地だと思う人もいますが、実はトルコが産地ではありません。原産地はペルシャ(現在のイラン)やシナイ半島、アメリカ合衆国が主となっています。さまざまな説がありますが、ターコイズが商人たちによってヨーロッパにもたらされたときにトルコを経由して広まっていったため、トルコ産だと勘違いされてこの名前がついたとも言われています。
トルコ石とも言われる由縁は上記の他に、古代のトルコ民族が戦いの際に使った武具・武器に民族のシンボルの色としてターコイズブルーを使用していたからとも言われています。ちなみにトルコではトルコ石のことをフィルゼ(FİRUZE)といいます。
ターコイズとトルコ石の違いは?
英名がターコイズ(turquoise)、和名がトルコ石なので、ターコイズとトルコ石は同じものです。日本でも英名のターコイズという呼び名は広く浸透していますね。ターコイズブルーと呼ばれる神秘的な色が最大の魅力
ターコイズブルーと一言で言っても、実は含有される微量元素の量に応じて色の幅はブルーとグリーンの間に無限にあり、豊富なバリエーションがあります。銅が含まれると青、クロムやバナジウムは緑、鉄が入ると黄色がかかった色合いになるのです。その中でもっとも人気なのは「ロビンズエッグブルー」といわれています。ロビンズエッグブルーとは、イギリスの国鳥のこまどりの卵の色のことです。美しい色の卵を産むのですね。
世界的な人気ブランド「ティファニー」のブランドカラーもロビンズエッグブルーであると言えば、思い起こせる人も多いでしょう。
ターコイズ(トルコ石)の産地
本物のターコイズ(トルコ石)は今や希少で、イランやアメリカ、チリ、中国、アフガニスタン、オーストラリアの一部で産出されています。それぞれ含まれる元素や模様が異なり、産地ごとに品質の差が生じます。このうち、最も上質なターコイズが産出されるのはイランのニシャプール地区です。かつてペルシアと呼ばれていたこの地域は古来より主要なターコイズの産地であり、先に紹介した「ロビンズエッグブルー」と呼ばれるバナジウムや鉄がほぼ含まれない美しい青色のターコイズが採れます。
同じく現代の主要な産地の一つであるアメリカでは、アリゾナ・ネバダ・ニューメキシコなど南西部を中心にターコイズが産出されますが、一般的により多孔質で、宝石として流通させる上ではステビライズド処理などの加工を必要とすることがほとんどです。
一方、アリゾナ州グローブ近くのスリーピングビューティーマインなど、「ペルシアグレード」と呼ばれるイランの最高級品にも劣らない上質なターコイズを生産することでも知られています。
ターコイズ(トルコ石)の歴史|古来から珍重された神秘のパワー!
ターコイズは、歴史上もっとも古い宝石であると言われています。古代エジプト時代では装飾品として身に着けられていた歴史があり、ピラミッドからも発見されています。
また、紀元前5000年以上前とされるターコイズの装飾品が、メソポタミア文明の遺跡や、アメリカ合衆国の世界遺産であるチャコキャニオン遺跡から出土しています。主に位の高い人物が多く用い、埋葬の際には多くのターコイズが並べられたそうです。
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ターコイズ(トルコ石)は神の力が宿った身を護る石
ターコイズは信仰にも多く使われ、宝石としての彩りと共に、神の不思議な力で身を守るお守りとしての役割も担ってきました。アメリカ合衆国の先住民族の間では、ターコイズの持つ聖なる力を信じており、儀式にもターコイズが多く用いられました。特にネイティブ・アメリカンの中では、神の力が宿った石として崇められてきた歴史があります。また古代では、ターコイズを身に着けると落馬のケガから身を守ってくれると信じられており、王族以外にも商人、兵隊の間でも身につけられてきたそうです。今でも、ターコイズをあしらった馬具を見かけることがあります。ケガから守るお守りとして、こうした信仰由来の役割を果たしているとされています。
そして、ヒンズー教においては、新月の際にトルコ石を持つと幸運や財産をもたらしてくれるとされているそうです。
世界のあらゆる場所で、古代から多くの文明と関わりを持ってきたターコイズ。世界の情報が互いに繋がっていなかった頃から、神聖で強大なパワーを持った石として各地で崇められてきたなんて、とても神秘的な力を感じてしまいますね。
ターコイズ(トルコ石)のヒーリング効果
ターコイズ(トルコ石)は、日本では12月の誕生石として親しまれています。一般社団法人日本ジュエリー協会が正式に公表しているトルコ石の石言葉は「成功」。繁栄をもたらす大きなパワーを持った宝石とされています。
その明るいエネルギーは危険や邪気を払って身を守ってくれるともされていて、トラブルや危険を避けたい旅行のお守りとしても心強い存在です。
持ち主に危険が及ぶと変色したり割れてしまい、持ち主に危険を伝え、さらに身代わりとなってくれると古くから言い伝えられています。旅や新天地に向かう際に身に着けるといいでしょう。
日本でも愛されるターコイズは自分へのご褒美や大切な方への贈り物におすすめ!
そんなターコイズは贈り物に最適です!もちろん自分へのご褒美にも。男性向けの宝石としてもまず一番に挙げられ、一つ身に着けるだけでお洒落度が増し、カジュアルにもフォーマルにも使え、若い方にも年配の方にも喜ばれる人気の贈り物です。人から贈られることで、神秘の力がより発揮され持ち主を守護する宝石であると伝えられています。ターコイズをプレゼントすることで友情や絆が深まり、お互いへの想いが石の持つ力をさらに引き出して、持ち主を護ってくれるのです。
ターコイズの色合いはまるで空色であり、大地にもたらされる水のようでもあります。眺めているだけで、心に潤いと穏やかさがもたらされるような気がしますね。
ターコイズのもたらす安心感は、心の安定と正しい判断を導き、なりたい自分に近づけてくれると言われています。ネガティブな気持ちになりやすい人や仕事などでのストレスをためやすい人には大変おすすめの宝石です。
ターコイズ(トルコ石)の見分け方
ターコイズは目に見えない小さな穴が無数に開いている多孔質の石で、非常に脆くて割れやすい性質を持っています。汚れの混入とその脆さを守るために、昔から様々な加工がおこなわれてきました。これは偽物ではなく補強の意味を持ちます。
その一つであるステビライズド処理はトルコ石の原石に樹脂を浸透させることであり、石の強度を上げ、宝石などの加工をしやすくする効果があります。天然石をそのまま使用するということではなくなってしまいますが、本物のトルコ石を使用します。
石の色が薄いときなどには、色付きの樹脂を染み込ませることもあります。ステビライズドしない場合でも、やはり強度不足を補うために、最後にワックスでコーティングをすることが一般的です。本格的であればあるほど、できるだけ表面に薄くコーティングをするということになります。
こうした加工を施した場合は、販売店側の責任で表示が必要です。まったく加工をしない原石を販売していることもあり得ますので、しっかり購入前に確認できるお店で購入しましょう。
ターコイズ(トルコ石)は偽物・模造品の流通量が非常に多い
しかし実は、今はターコイズはその産出量に比較して、宝石として加工できるものは年々非常に少なくなってしまっています。一般的には青色が鮮やかで縞模様や斑点がないもの程、高い値段で取引されており、状態のいいものに出会うことが難しくなりました。先ほどのワックスコーティングも、石の中にワックスが深く入り込んでしまうほど多孔質なものが多いそうです。現在市場に安く出回っているものは、偽物である可能性が非常に高いと言われています。ほかの石や陶器、ガラス、プラスチック、樹脂などを加工して作ったものが模造品として多く出回っているのです。
ハウライトとマグネサイトの模造品は広く販売されている
一番よく見られるターコイズの偽物は「ハウライト」と呼ばれる、白い石を染色したものです。ターコイズと似たような黒い網状の模様があり、とても見分けがつきにくく注意が必要です。このハウライトにそっくりな「マグネサイト」という白い石も、同じく加工されて出回っています。いずれも染色されてターコイズとして売られているのですが、アセトン入りの除光液でこすると塗装が溶け、中から白っぽい地の石色が出てくるので見分けることができます。
しかし店頭ではなかなか確認しづらく、正直なところ素人では見分けるのが非常に難しいです。お店にしっかり確認してみるといいでしょう。
プラスチックや樹脂製の偽物を見分けるポイント
プラスチックや樹脂製のものとの見分け方ですが、本物のターコイズは石であるため、手に持つと石特有の冷たさや重さを感じることができるでしょう。軽すぎるものは偽物の可能性があります。また、本物は自然の鉱物であるため、ネット状の網模様はサイズも間隔もバラバラですが、偽物は均等に入れられていることがあります。
今や希少な高級宝石となったターコイズ。さまざまな加工を施すことで、何とか市場への流通を確保しています。状態の良いものに出会うことができたら、もうそれは奇跡と呼んでもいいかもしれません。
偽物が多々存在するのは、それだけ人気のある宝石であることを表しているでしょう。偽物も精巧に作られており、素人では見分けるのが大変難しいです。購入する際は、信頼できるお店でよく相談した上で選ぶことができるといいですね。
気を付けたいターコイズ(トルコ石)のお手入れ
ターコイズは宝石の中では比較的脆く多孔質であるため、熱による影響や化学的損傷を受けやすい石です。アルコールや油分・皮脂などにさらされないように留意し、お手入れの際には超音波やスチームはもちろん、石鹸や流水を使用するのも避けてください。スタビライズド処理されている製品は湿らせた布で拭き、すぐに拭いて乾かします。ワックスコーティングされている場合は、摩擦でワックスが剥げないよう、柔らかい布で優しく拭いてください。
ターコイズブルーはトルコのアイデンティティー
トルコ石がトルコ原産ではないと言っても、トルコ人と縁が深いことには違いありません。現トルコ人の祖先「テュルク(トルコ系民族)」の名前が歴史の中で言及されている最も古い記述は、中国の文献とのことです。
中国人は「トゥルク、テュルク/TÜRK(=トルコ民族)」という単語をトルコ民族が戦争道具として頻繁に使用する「冑(かぶと)」という単語と関連付けており、さらに中国の戦争史では、テュルク民族は常にターコイズ色で配置・表示されてきました。
実は、古代テュルク系民族にとって、青とその色合いであるターコイズは、テュルク民族が信仰していた空の神に由来する色でとても重要でありました。東の方角は、太陽が昇る聖なる方角とされ、空の色である青で表現されていたとのことです。
テュルク系民族は古代から戦士・戦う民として歴史の舞台に立ってきており、彼らは戦うための力を空から得ていると信じていました。 テュルク民族が戦争道具に頻繁に使用したターコイズ色は、語源の観点からしてトルコ民族が国家・民族としてのアイデンティティーを得る為にとても影響しております。
色だけでなくトルコ石自体も、古代の文化では、お守り的な魅惑的な力とリラックスできる特性が信じられ、アジアからバルカンまで多くの文化で重んじられてきました。
空の色である青系の全ての色合いや、テゥルク民族の創世記やオゥズ・ハン叙事詩で神聖とされる青-緑の色の全てを反映するターコイズ色のトルコ石は、テュルク民族の歴史の中でも好まれて使われています。
テゥルク系民族が活躍した満州川からドナウ川までの地域では、紀元前8世紀から近年まで宝石としてしばしばトルコ石が使用されてきました。使用の例としては、内モンゴル自治区のオルドス市で発掘された3世紀フン族の時代の金の王冠で、この王冠の頂部の飾りの鷲の頭は一つのトルコ石から造られています。
また9世紀から13世紀にかけて中央アジアと現在の東トルキスタンを支配したカラハン朝トルコ人のものとされる装身具の宝石のほとんどでトルコ石が見受けられるとの事です。
ターコイズブルーはトルコのモスクでも多く見られる
一番分かりやすいトルコにおけるターコイズ色の一番の例はトルコのモスクです。トルコでモスクを観光しているとお気付きになると思いますが、オスマン帝国時代のイズニックタイルの中で最も好まれた色であり、多くのモスクが美しいターコイズ色のタイルで飾られています。
代表的なのは、世界遺産イスタンブール歴史地域にある観光の目玉「スルタンアフメト・モスク」。ブルーモスクという通称の通り、内部の壁は21,043枚の青を基調にしたタイルが敷き詰めてあって非常に美しく、オスマン建築の最高傑作と呼ばれています。
このようにトルコ石とその色であるターコイズブルーは、トルコ人の祖先から今まで切っても切れない深い縁で繋がっています。
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ターコイズ(トルコ石)はトルコ旅行のお土産としても人気
その名に反して、トルコはターコイズ(トルコ石)の産地ではありませんが、歴史的・文化的に深い関わりがあるのは事実です。そのため、現在でもトルコ国内でターコイズを取り扱うお店は多くあります。ターコイズをあしらった指輪やネックレス、ブレスレット、ピアスなどの美しいアクセサリーは観光客にも人気です。トルコ旅行にお越しになった際は、ターコイズの歴史に想いを馳せながら、お土産としてぜひお気に入りの一品を選んでみてください。
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