トルコ料理
ピラフは世界三大米料理の一つ!歴史やおすすめ料理・レシピを解説
トルコの主食はパンですが、お米を使った料理も多くあります。料理の付け合わせとしてピラフが添えられたり、お米を使った前菜料理やデザートもあり、お米が主食である私たち日本人にとっても新鮮な料理ばかりです。
具体的にはどんなお米料理があるのか?ここではピラフをはじめとするトルコの代表的なお米料理を紹介します。
「トルコ人がアナトリアに到着する前から食べられてきた古い歴史を持ち、オスマン帝国時代、スルタンの慶事の祝祭の招宴で重臣たちにピラフが供せられた様子を描く絵画も残されています。トルコのピラフは付け合わせとして出てくる事がほとんどです。
そのため、パンが主食のトルコではパンと一緒にピラフのごはんも食べるなんてこともよくあります。
トルコライスはトルコ料理?トルコライスは、実はトルコ料理ではありません!由来や発祥の店、基本レシピを徹底解説
トルコ語でお米は、“ピリンチ(Pirinç)”と言います。トルコで食されているお米は、タイ米やジャスミン米の様や細長い物ではなく、日本と同じようなふっくら丸いもちもちしたお米ですので、日本人の私達でも美味しく頂くことが出来ます。
トルコのお米は主にマルマラ地方、黒海地方、エーゲ海地方で作られており、中でも最も生産・消費されているのは、“バルド(Baldo)”と言う品種のお米です。
バルドは香りが無く、トルコのお米の中で一番丸みを帯びている白米です。広い範囲で生産されていますが、特にトラキア地方西部やバルッケスィル県、サムスン県やスィノップ県やマニサ県やカスタモヌ県での栽培が有名です。このお米はピラフやドルマや野菜料理によく使われます。
この他に、トルコのお米として“オスマンジック(Osmancık)”もありますが、こちら小粒でストゥラチ(お米のプディング)やドルマに適しています。
また、“クルック・ピリンチ”という、“クルック(Kırık)”=“割れた”お米もよく使われます。普通のお米の4分の3位の大きさに砕かれたお米で、調理したときに柔らかく粘り易くなりやすいので、そのままピラフにすることは無く、煮込みキョフテ、ホウレン草やズッキーニなどの野菜料理、ドルマやサルマ(ブドウの葉のピラフ巻き)、スープ等に多く使われます。
タンザニアではピラウ、インドではプラオ、イランではポロウといった同様のルーツを持つ料理が知られています。トルコのピラウはヨーロッパに伝わり、フランス料理のピラフとなりました。
各国で古くから親しまれているピラフは、パエリア・リゾットとともに世界三大米料理の一つに数えられています。
オリーブオイルで炒めた米にトマトやピーマンなどの野菜、エビ・アサリ・ムール貝・イカなどの魚介類などを加えて、具材から出た出汁とともに炊き上げます。地中海地方らしく魚介類を使うのが一般的ですが、肉類のみで作るレシピもあります。
基本的な作り方はピラフと同様ですが、パエリアはそれ自体がメイン料理として供される点に違いがあります。
バターで米を炒めてから白ワインを加え、サフランで色を付けたブロード(出汁)で炊き上げます。具材としてキノコを加えたり、炊きあがった後にチーズを加えたりすることが多くあります。
リゾットは米を固め(アルデンテ)に仕上げるのが基本なので、米を洗わずに炒めます。生米のぬか臭さを取るために、炒める段階で白ワインを加えてアルコールをとばすのがポイントです。
なお現在でもインドでは、肉とスパイスを煮込んでとった出汁(ヤックニ―)に米を入れて炊き込むプラオ(プラーオ)と呼ばれる米料理が親しまれています。インドでは似た料理としてビリヤニがありますが、こちらは肉・野菜・スパイスで作ったグレービーと米を層にして炊き上げ、よりスパイシーな味付けにするのが特徴です。
一方、紀元前330年ごろにアレキサンダー大王がバクトリア(古代ペルシャの一部)に滞在した際に、サマルカンド占領を祝う宴の場でピラフのような料理が供されたという記録も残っているようです。ピラフの語源は古代ペルシア語であると見られていることからも、ピラフはペルシャ発祥であるとする見方があります。
また、古代ペルシャの医学者であったイブン・スィーナーの著書は、ピラフのレシピを文書化した最古の例として知られています。ピラフは当時から人気があったようで、子羊や鹿などの肉、ピスタチオ、ハーブ、種々のスパイス、レーズン・デーツ・イチジクなどのドライフルーツといった具材を使用した多様なバリエーションがありました。
このように中央アジアでは古くから稲作が盛んで、さまざまな米料理が食されており、ここから米食文化が東西に広がりました。スペインのパエリアや中国のチャーハンなども、根本的なルーツは同じだといえるでしょう。
オスマン帝国の食文化において、特に宮殿の料理での繊細な味わいのピラフの出し方は、儀式的な性質を持っています。 ピラウは、 スープ、肉料理、野菜料理、ドルマ、果物、デザートの後にテーブルに運ばれ、ピラウによって食事が終えられていました。 同じ伝統が今日でもトルコのいくつかの地域で守られています。
食事の最後にテーブルに運ばれる大きなお皿は「ソズケセン(Sözkesen)」と呼ばれ、“言葉を遮る”と言う意味から食事の終わりを意味しています。
15世紀、宮殿ではピラウが食されており、オスマン帝国第7代皇帝ファティ・スルタン・メフメトの食卓では、サーデ・ピラウの他に野菜入り、肉入り、チキン入りのものもあったと記録されています。
しかし、お米は珍しい食材であったため、長い間豊かなオスマン帝国料理を飾っていたのみで、この辺でも食卓の最も重要な料理となりました。
16世紀では、ピラウの調理方法が発展し、同じ食事に数種類のピラウが食べられるようになりました。饗宴での御馳走の豊かさ、お肉だけでなくピラウの豊富さによって測られるようになりました。
1539年11月、スレイマン1世の息子であるベヤズットとジハンギルの割礼式で提供された食事は「宴会の書」に詳細に記録されました。サーデ・ピラウを筆頭に、エリシテ・ピラウ(手打ちミニパスタ入り)、サル・ピラウ(黄色いピラウの意でサフラン入り)、イェシル・ピラウ(緑のピラウの意でフダンソウやほうれん草のゆで汁で染色したピラウ)、クズル・ピラウ(赤のピラウの意で濃縮果物エキスのペクメズ入り)、シェフリエ・ピラウ(極細ミニパスタ入り)、ナル・エクシリ・ピラウ(ざくろシロップのピラウ)、ウンル・ピラウ(小麦粉入り)が儀式の食事の重要な部分を担っていたと言う事です。
17世紀、有名な旅行者のエヴリヤ・チェレビは、彼の旅行本の中で、サフラン、ベリー、ザクロ、ルガセア、琥珀、ミートボール、ピスタチオ、アーモンド、レーズンを使ったピラフの種類について言及しています。
また、エヴリヤ・チェレビはビトリス侯国の中心地で行われた饗宴にて13種類のお米のピラウが出されていたとも書いています。これは、ピラウがただオスマン帝国の宮殿に特別でなかったことを表しています。
しかし、それでも貴重であったピラウを庶民が味わえることが出来たのは、何世紀もの間裕福な人たちの饗宴でのみであったのです。
特にイスタンブールでは、この世紀以降にお米が小麦と同じくらい消費されるようになりました。
18世紀になると、野菜を使ったピラウやシーフードを使ったピラフが宮廷料理に求められる味であったと言います。
文化歴史学者マリアンナ・イェラスィモスは、オスマン帝国料理と言う名の著書で、18世紀の料理の作り方の中でとても変わったピラフの数々があること、また湯煎で調理された“無水ピラウ”や“魚入りピラウ”なんて言うものまであったと述べています。
昔から今までずっとトルコで作られてきたシンプルなピラフの作り方をご紹介いたします。
具を入れる場合は②の時点で加えて下さい。
野菜、ハーブ、ひよこ豆、レンズ豆、肉、鶏肉、ムール貝、エビ、ピーナッツ、ブドウなどの具を米に加えると、ピラフの栄養価が上がるだけでなく、見た目も良くなります。
上記は、“カヴルマ(Kavurma)”と言う炒め方式の作り方ですが、もう一つ②の炒めることをしない、“サルマ(Salma)”と言う作り方もあります。
トルコの良いピラウの基準は、“お米の粒が其々つぶれておらず、くっつかない”こと。
是非、ふっくら美味しいトルコピラウを作ってみて下さい。
それでは下記にて、トルコの代表的なピラフを紹介します。
ブルグルとは、小麦を石臼で挽いて皮を適度に剥いた「挽き割り小麦」です。トルコではお米のようによく使われていて、これをピラフにして食べます。
すりおろしたトマト、玉ねぎやピーマン、時には茄子など、みじん切りの野菜と一緒にサルチャ(トマトペースト)やビベル・サルチャ(パプリカのペースト)をほんの少し加えて、炒めながら炊き上げたケチャップライスに似たピラウです。
普通のお米のピラウよりも、もっちりプリっとしており、歯ごたえがあります。
これも付け合わせとして出される事がほとんどで、ケバブの付け合わせとして定番です。
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鶏肉を茹でてそのチキンストックでピラフを炊いたものです。茹でたチキンを割いてお米と一緒に炊くか、炊きあがったピラウに割いたチキンをそえるのですが、ピラウにはヒヨコ豆が入れられることもあります。
これだけで、とってもおいしくいくらでも食べられるほど。このタヴックル・ピラウ専門の食堂も多くあります。
メヴリトと言う割礼や結婚や出産や死去などの特別な出来事の為に親せきや知り合いを家に呼んでお祈りをする宗教的な集まりの際にも集まった人たちにこのピラウが振舞われます。
このままでも立派なピラウの一つですが、出来上がったピラウを子羊や鶏などの丸焼きに詰めて焼く料理も大変人気です。
食べる際はお肉に中身のピラウが添えられます。お肉の旨味が染み込んだイチュ・ピラフはトルコの人達にとって大好物の一つです。
ピラフの中にはチキン、干しブドウやナッツが入っていてシナモンが効いているお米料理ですので、日本では味わったことのない味わいですが、これが意外にヤミツキになります。ケーキの様な見た目の帽子のようなユニークな形をした東方アナトリアの郷土料理です。
カタクチイワシ(ハムシ)で作るイワシのピラフで黒海地方の郷土料理です。黒海地方の魚といえば「Hamsi(ハムシ)」と言われ、ピチピチと跳ねるハムシの姿は黒海地方の民族舞踊のモチーフにもなるほど。
このイワシのピラフは、まずバターで玉ねぎや松の実を加えた米を炒め、これに干しブドウと砂糖、乾燥ミントを混ぜてピラウを炊き上げます。このピラウを、骨を取り除いて開き耐熱皿に綺麗に敷き並べたカタクチイワシの上にのせ入れ、上もイワシで囲みこみ、オーブンでやいた料理です。
お好みでレモンやハーブ等を添えて食べます。魚の生臭さを心配する方もいるかもしれませんが、イワシの旨味がお米に染みて絶品!日本人の口にも合う味わいです。
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トルコには宗教行事や祝日、結婚式などの特別な日に食べる『ケシケキ』という伝統料理があります。ヤルマ(Yarma)と言う硬い麦やお肉、玉ねぎなどを牛乳で一晩かけて煮込んだおかゆのような料理で、親族や近所の人が一緒に協力して作ります。
村の女性たちが集まって歌をうたいながら小麦を洗って乾かし、男性たちは石臼で小麦を挽きます。その小麦や他の食材を大きな鍋で調理します。煮込む際に中の具を木槌で叩きながら調理しますので、中の具は細かくなり、麦とお肉が溶けてとろとろになるのです。
日本の餅つきと少し似ている感じで、このような共同作業をしていくうちに、地域の人々のつながりが強くなっていきます。
トルコ政府はケシケキ文化を保存する為にケシケキの習熟過程の設定、関連工芸品の生産奨励、ケシケキ・マスターの人間国宝への登録などの取り組みを行っています。その努力により、「儀式的ケシケキの伝統」として2011年にユネスコ世界無形文化遺産として登録されました。
2011年に世界無形文化遺産に登録されているケシケキ!UNESCO ユネスコのケシケキページはこちら(英語)
ヨーグルトとピラウ?と思われるかと思いますが、トルコでは極当たり前にヨーグルトとも一緒に食べられています。さっぱりとしたヨーグルトが絶妙に合うのです。
特に相性の良い料理は鍋料理と言われる野菜やお肉等の煮込み料理です。日本の丼物みたいな感じで、煮込み料理の出汁をピラウと一緒に食べるのが最高です。
また、肉料理、特にケバブにピラウは欠かせません。
ピラフのお供には、是非さっぱり塩ヨーグルトドリンクの“アイラン(Ayran)”を!
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世界三大料理は、なぜフランス料理・中華料理・トルコ料理なの?歴史と特徴を解説 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
具体的にはどんなお米料理があるのか?ここではピラフをはじめとするトルコの代表的なお米料理を紹介します。
目次
ピラフはトルコ料理?!
日本でよくエビピラフやカレーピラフなど、○○ピラフと耳にする事があると思いますが、実は「ピラフ」はトルコ料理なんです。トルコ語ではピラフの事を「ピラウ(Pilav)」と言い、ピラフの語源と言われています。「トルコ人がアナトリアに到着する前から食べられてきた古い歴史を持ち、オスマン帝国時代、スルタンの慶事の祝祭の招宴で重臣たちにピラフが供せられた様子を描く絵画も残されています。トルコのピラフは付け合わせとして出てくる事がほとんどです。
そのため、パンが主食のトルコではパンと一緒にピラフのごはんも食べるなんてこともよくあります。
トルコライスはトルコ料理?トルコライスは、実はトルコ料理ではありません!由来や発祥の店、基本レシピを徹底解説
トルコのお米
トルコ語でお米は、“ピリンチ(Pirinç)”と言います。トルコで食されているお米は、タイ米やジャスミン米の様や細長い物ではなく、日本と同じようなふっくら丸いもちもちしたお米ですので、日本人の私達でも美味しく頂くことが出来ます。
トルコのお米は主にマルマラ地方、黒海地方、エーゲ海地方で作られており、中でも最も生産・消費されているのは、“バルド(Baldo)”と言う品種のお米です。
バルドは香りが無く、トルコのお米の中で一番丸みを帯びている白米です。広い範囲で生産されていますが、特にトラキア地方西部やバルッケスィル県、サムスン県やスィノップ県やマニサ県やカスタモヌ県での栽培が有名です。このお米はピラフやドルマや野菜料理によく使われます。
この他に、トルコのお米として“オスマンジック(Osmancık)”もありますが、こちら小粒でストゥラチ(お米のプディング)やドルマに適しています。
また、“クルック・ピリンチ”という、“クルック(Kırık)”=“割れた”お米もよく使われます。普通のお米の4分の3位の大きさに砕かれたお米で、調理したときに柔らかく粘り易くなりやすいので、そのままピラフにすることは無く、煮込みキョフテ、ホウレン草やズッキーニなどの野菜料理、ドルマやサルマ(ブドウの葉のピラフ巻き)、スープ等に多く使われます。
ピラフは世界三大米料理の一つ
ピラフはトルコ料理(ピラウ)として広く名が知られていますが、炒めた米をさまざまな具材同じような料理は中近東・地中海周辺で幅広く食されています。トルコでは基本的に料理の付け合わせとして供されるため、具の入っていないシンプルなピラフも一般的です。タンザニアではピラウ、インドではプラオ、イランではポロウといった同様のルーツを持つ料理が知られています。トルコのピラウはヨーロッパに伝わり、フランス料理のピラフとなりました。
各国で古くから親しまれているピラフは、パエリア・リゾットとともに世界三大米料理の一つに数えられています。
パエリア
パエリアはスペインのバレンシア地方の料理です。もともとパエリアというのは、この料理を作るときに使う浅型の鉄製両手鍋の名前です。オリーブオイルで炒めた米にトマトやピーマンなどの野菜、エビ・アサリ・ムール貝・イカなどの魚介類などを加えて、具材から出た出汁とともに炊き上げます。地中海地方らしく魚介類を使うのが一般的ですが、肉類のみで作るレシピもあります。
基本的な作り方はピラフと同様ですが、パエリアはそれ自体がメイン料理として供される点に違いがあります。
リゾット
リゾットはイタリア北部の米の産地であるポー川付近で古くから食されてきた家庭料理です。語源は、イタリア語で米を意味する「リーゾ(riso)」。バターで米を炒めてから白ワインを加え、サフランで色を付けたブロード(出汁)で炊き上げます。具材としてキノコを加えたり、炊きあがった後にチーズを加えたりすることが多くあります。
リゾットは米を固め(アルデンテ)に仕上げるのが基本なので、米を洗わずに炒めます。生米のぬか臭さを取るために、炒める段階で白ワインを加えてアルコールをとばすのがポイントです。
ピラフの歴史
ピラフのような米料理は古代から食されていたと推測されますが、最も古い文献の一つとして挙げられるのは、インドの叙事詩マハーバーラタです。ここには、米と肉を使って調理された「pulao」あるいは「pallao」という料理が記述されています。なお現在でもインドでは、肉とスパイスを煮込んでとった出汁(ヤックニ―)に米を入れて炊き込むプラオ(プラーオ)と呼ばれる米料理が親しまれています。インドでは似た料理としてビリヤニがありますが、こちらは肉・野菜・スパイスで作ったグレービーと米を層にして炊き上げ、よりスパイシーな味付けにするのが特徴です。
一方、紀元前330年ごろにアレキサンダー大王がバクトリア(古代ペルシャの一部)に滞在した際に、サマルカンド占領を祝う宴の場でピラフのような料理が供されたという記録も残っているようです。ピラフの語源は古代ペルシア語であると見られていることからも、ピラフはペルシャ発祥であるとする見方があります。
また、古代ペルシャの医学者であったイブン・スィーナーの著書は、ピラフのレシピを文書化した最古の例として知られています。ピラフは当時から人気があったようで、子羊や鹿などの肉、ピスタチオ、ハーブ、種々のスパイス、レーズン・デーツ・イチジクなどのドライフルーツといった具材を使用した多様なバリエーションがありました。
このように中央アジアでは古くから稲作が盛んで、さまざまな米料理が食されており、ここから米食文化が東西に広がりました。スペインのパエリアや中国のチャーハンなども、根本的なルーツは同じだといえるでしょう。
トルコのピラウ文化
13世紀の有名な詩人で思想家であったメヴラーナの厨房で作られていたピラウの材料として、米、ひよこ豆、羊肉、栗、にんじん、玉ねぎ、油、松の実、スグリ(干カシス)、黒胡椒、オールスパイスが使われ、炒めて作られていたと伝えられています。オスマン帝国の食文化において、特に宮殿の料理での繊細な味わいのピラフの出し方は、儀式的な性質を持っています。 ピラウは、 スープ、肉料理、野菜料理、ドルマ、果物、デザートの後にテーブルに運ばれ、ピラウによって食事が終えられていました。 同じ伝統が今日でもトルコのいくつかの地域で守られています。
食事の最後にテーブルに運ばれる大きなお皿は「ソズケセン(Sözkesen)」と呼ばれ、“言葉を遮る”と言う意味から食事の終わりを意味しています。
15世紀、宮殿ではピラウが食されており、オスマン帝国第7代皇帝ファティ・スルタン・メフメトの食卓では、サーデ・ピラウの他に野菜入り、肉入り、チキン入りのものもあったと記録されています。
しかし、お米は珍しい食材であったため、長い間豊かなオスマン帝国料理を飾っていたのみで、この辺でも食卓の最も重要な料理となりました。
16世紀では、ピラウの調理方法が発展し、同じ食事に数種類のピラウが食べられるようになりました。饗宴での御馳走の豊かさ、お肉だけでなくピラウの豊富さによって測られるようになりました。
1539年11月、スレイマン1世の息子であるベヤズットとジハンギルの割礼式で提供された食事は「宴会の書」に詳細に記録されました。サーデ・ピラウを筆頭に、エリシテ・ピラウ(手打ちミニパスタ入り)、サル・ピラウ(黄色いピラウの意でサフラン入り)、イェシル・ピラウ(緑のピラウの意でフダンソウやほうれん草のゆで汁で染色したピラウ)、クズル・ピラウ(赤のピラウの意で濃縮果物エキスのペクメズ入り)、シェフリエ・ピラウ(極細ミニパスタ入り)、ナル・エクシリ・ピラウ(ざくろシロップのピラウ)、ウンル・ピラウ(小麦粉入り)が儀式の食事の重要な部分を担っていたと言う事です。
17世紀、有名な旅行者のエヴリヤ・チェレビは、彼の旅行本の中で、サフラン、ベリー、ザクロ、ルガセア、琥珀、ミートボール、ピスタチオ、アーモンド、レーズンを使ったピラフの種類について言及しています。
また、エヴリヤ・チェレビはビトリス侯国の中心地で行われた饗宴にて13種類のお米のピラウが出されていたとも書いています。これは、ピラウがただオスマン帝国の宮殿に特別でなかったことを表しています。
しかし、それでも貴重であったピラウを庶民が味わえることが出来たのは、何世紀もの間裕福な人たちの饗宴でのみであったのです。
特にイスタンブールでは、この世紀以降にお米が小麦と同じくらい消費されるようになりました。
18世紀になると、野菜を使ったピラウやシーフードを使ったピラフが宮廷料理に求められる味であったと言います。
文化歴史学者マリアンナ・イェラスィモスは、オスマン帝国料理と言う名の著書で、18世紀の料理の作り方の中でとても変わったピラフの数々があること、また湯煎で調理された“無水ピラウ”や“魚入りピラウ”なんて言うものまであったと述べています。
基本のピラウの作り方・レシピ
昔から今までずっとトルコで作られてきたシンプルなピラフの作り方をご紹介いたします。
- ① 米を洗い、塩水に数分浸して水を切ります。
- ② 少し深めのフライパンか鍋でバターを一欠け(少し多いと思うくらい)溶かした後、①のお米を入れて、お米が少し透明になるまで炒めます。
- ③ ②のお米が浸る量の熱湯(又はチキンストック)と塩を少々加えて蓋をして炊きます。
- ④ ピラフが炊き上がったら、15~20分蒸らすのをお忘れなく。
具を入れる場合は②の時点で加えて下さい。
野菜、ハーブ、ひよこ豆、レンズ豆、肉、鶏肉、ムール貝、エビ、ピーナッツ、ブドウなどの具を米に加えると、ピラフの栄養価が上がるだけでなく、見た目も良くなります。
上記は、“カヴルマ(Kavurma)”と言う炒め方式の作り方ですが、もう一つ②の炒めることをしない、“サルマ(Salma)”と言う作り方もあります。
トルコの良いピラウの基準は、“お米の粒が其々つぶれておらず、くっつかない”こと。
是非、ふっくら美味しいトルコピラウを作ってみて下さい。
それでは下記にて、トルコの代表的なピラフを紹介します。
トルコのおすすめピラウ(ピラフ)料理7選
サーデ・ピラウ(Sade Pilav)
“サーデ(Sade)”=“シンプル、混合物無し”のバター風味のトルコでは定番のピラフです。付け合わせとして出される事がほとんどで、ピラフそのものにしっかりと味付けがされていてヤミツキになる味です。お肉料理のソースとも相性ばっちりです。シェフリエリ・ピラウ(Sehriyeli Pilav)
“シェフリエ”と言う小さなパスタと一緒にバターで炒めながら炊き上げたトルコで定番のピラフです。普通のサーデ・ピラフ同様に一般的に料理の付け合わせと一緒に出されます。ブルグル・ピラウ(Bulgur Pilavi)
ブルグルとは、小麦を石臼で挽いて皮を適度に剥いた「挽き割り小麦」です。トルコではお米のようによく使われていて、これをピラフにして食べます。
すりおろしたトマト、玉ねぎやピーマン、時には茄子など、みじん切りの野菜と一緒にサルチャ(トマトペースト)やビベル・サルチャ(パプリカのペースト)をほんの少し加えて、炒めながら炊き上げたケチャップライスに似たピラウです。
普通のお米のピラウよりも、もっちりプリっとしており、歯ごたえがあります。
これも付け合わせとして出される事がほとんどで、ケバブの付け合わせとして定番です。
「トマト」世界中で料理にかかせないこの食材について徹底解説 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』
タヴックル・ピラウ(Tavuklu Pilav)
安くて美味しい、ザ・庶民の料理がこの“タブック”=“チキン”のピラフ!鶏肉を茹でてそのチキンストックでピラフを炊いたものです。茹でたチキンを割いてお米と一緒に炊くか、炊きあがったピラウに割いたチキンをそえるのですが、ピラウにはヒヨコ豆が入れられることもあります。
これだけで、とってもおいしくいくらでも食べられるほど。このタヴックル・ピラウ専門の食堂も多くあります。
メヴリトと言う割礼や結婚や出産や死去などの特別な出来事の為に親せきや知り合いを家に呼んでお祈りをする宗教的な集まりの際にも集まった人たちにこのピラウが振舞われます。
イチュ・ピラウ(Ic Pilavi)
“イチュ”=“中身”と言う意味の、子羊や鶏などの丸焼きを作るとき、その中身として入れるピラウです。お米に加えレバーの細切れや刻み玉葱、 松の実、カラント(小粒のレーズン)にハーブのディルやオールスパイスやシナモンを入れ羊などのスープを加えて炊きあげます。このままでも立派なピラウの一つですが、出来上がったピラウを子羊や鶏などの丸焼きに詰めて焼く料理も大変人気です。
食べる際はお肉に中身のピラウが添えられます。お肉の旨味が染み込んだイチュ・ピラフはトルコの人達にとって大好物の一つです。
ぺルデ・ピラウ(Perde Pilavi)
ペルデとは「カーテン」の意味で、カーテン・ピラフとも呼ばれています。このピラフは、小麦粉のパイ生地を容器にはりつけそこにピラフを入れてから蓋をし窯に入れ蒸し焼きにした“ピラフのパイ包み焼き”です。このパイ生地がカーテンのように見えることからこの名が付きました。ピラフの中にはチキン、干しブドウやナッツが入っていてシナモンが効いているお米料理ですので、日本では味わったことのない味わいですが、これが意外にヤミツキになります。ケーキの様な見た目の帽子のようなユニークな形をした東方アナトリアの郷土料理です。
ハムシ・ピラウ(Hamsi Pilavi)
カタクチイワシ(ハムシ)で作るイワシのピラフで黒海地方の郷土料理です。黒海地方の魚といえば「Hamsi(ハムシ)」と言われ、ピチピチと跳ねるハムシの姿は黒海地方の民族舞踊のモチーフにもなるほど。
このイワシのピラフは、まずバターで玉ねぎや松の実を加えた米を炒め、これに干しブドウと砂糖、乾燥ミントを混ぜてピラウを炊き上げます。このピラウを、骨を取り除いて開き耐熱皿に綺麗に敷き並べたカタクチイワシの上にのせ入れ、上もイワシで囲みこみ、オーブンでやいた料理です。
お好みでレモンやハーブ等を添えて食べます。魚の生臭さを心配する方もいるかもしれませんが、イワシの旨味がお米に染みて絶品!日本人の口にも合う味わいです。
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世界無形文化遺産のトルコ料理・ケシケキ(Keskek)
トルコには宗教行事や祝日、結婚式などの特別な日に食べる『ケシケキ』という伝統料理があります。ヤルマ(Yarma)と言う硬い麦やお肉、玉ねぎなどを牛乳で一晩かけて煮込んだおかゆのような料理で、親族や近所の人が一緒に協力して作ります。
村の女性たちが集まって歌をうたいながら小麦を洗って乾かし、男性たちは石臼で小麦を挽きます。その小麦や他の食材を大きな鍋で調理します。煮込む際に中の具を木槌で叩きながら調理しますので、中の具は細かくなり、麦とお肉が溶けてとろとろになるのです。
日本の餅つきと少し似ている感じで、このような共同作業をしていくうちに、地域の人々のつながりが強くなっていきます。
トルコ政府はケシケキ文化を保存する為にケシケキの習熟過程の設定、関連工芸品の生産奨励、ケシケキ・マスターの人間国宝への登録などの取り組みを行っています。その努力により、「儀式的ケシケキの伝統」として2011年にユネスコ世界無形文化遺産として登録されました。
2011年に世界無形文化遺産に登録されているケシケキ!UNESCO ユネスコのケシケキページはこちら(英語)
ピラウと相性の良い飲み物と料理
ピラウは、ヨーグルトやサラダや葉野菜を添えただけで立派な一品料理となりえます。ヨーグルトとピラウ?と思われるかと思いますが、トルコでは極当たり前にヨーグルトとも一緒に食べられています。さっぱりとしたヨーグルトが絶妙に合うのです。
特に相性の良い料理は鍋料理と言われる野菜やお肉等の煮込み料理です。日本の丼物みたいな感じで、煮込み料理の出汁をピラウと一緒に食べるのが最高です。
また、肉料理、特にケバブにピラウは欠かせません。
ピラフのお供には、是非さっぱり塩ヨーグルトドリンクの“アイラン(Ayran)”を!
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世界三大料理の一つトルコ料理を楽しもう!
ピラフは世界三大米料理の一つですが、トルコ料理はフランス料理・中華料理と並んで世界三大料理の一つに数えられています。トルコに旅行に行った際は、ぜひピラフをはじめとする本場のトルコ料理を堪能してください。世界三大料理は、なぜフランス料理・中華料理・トルコ料理なの?歴史と特徴を解説 | トルコ旅行専門の人気ナンバーワン旅行会社『ターキッシュエア&トラベル』